求人票を出しても応募が来ない。来ても「なんか違う」という人ばかり。そういう状態が続いているとき、採用手法や予算の問題に目が向きがちだが、実際には採用ページそのものに問題があることが多い。
求職者は求人票だけを見て応募を決めているわけではない。ハローワークやIndeedで見つけた後、必ず会社のことをWebで調べる。そこに「この会社どんなところだろう」という疑問に答えるページがないか、あっても情報が薄いと、応募ボタンを押す前に離脱する。
この記事では、中小企業が採用ページを整えるための7つのポイントを解説する。専用の採用サイトを作らなくても、既存のホームページに採用ページを1枚追加するだけで実践できる内容を中心にまとめた。
採用ページを見た求職者は何を判断しているか
まず前提として、求職者が採用ページを見るときの行動を理解しておく必要がある。
求職者が採用ページで確認していることは主に3つだ。
- 自分がここで働けるかどうか(マッチング確認)
- 求める経験・スキルが自分に合っているか
- 働き方(勤務時間・リモート可否・残業の実態)が許容範囲か
- この会社は信頼できるか(安心感の確認)
- 会社の雰囲気・文化が自分に合いそうか
- 実際に働いている人の声はあるか
- 入社後のイメージがわくか(具体性の確認)
- 入社してから何をするのか
- 成長できる環境かどうか
この3つに答えていない採用ページは、求職者に「情報不足」として判断され、応募されない。逆に言えば、7つのポイントはこの3つの疑問に答えるための手段として設計されている。
7つのポイント
ポイント1:「求める人物像」を具体的に書く
採用ページでよく見かける「明るい方」「積極的な方」「向上心のある方」は情報ゼロに等しい。読んだ求職者は「どんな会社でもそう書くよな」と感じて通過する。
具体的に書くとはどういうことか。たとえばこうだ。
曖昧な表現
> コミュニケーション能力が高い方
具体的な表現
> 顧客との打ち合わせが週3〜4回あるため、聞いた内容を正確にメモして社内に共有する作業が得意な方。プレゼンのうまさよりも、聞く力・整理する力を大事にしています。
後者の方が、自分に合うかどうかを求職者が自分で判断できる。「こういう仕事が好きな人いそう」と思ってもらえれば応募につながる。
実際に今いる社員の中で「この人に2人目を採用したい」と思える人を1人思い浮かべ、その人の仕事のしかたや強みを言葉にすると書きやすくなる。
ポイント2:「一日の流れ」を書く
求職者が入社を迷う理由の一つは「入社したら何をするのか具体的にわからない」という不安だ。
職種や業務内容のリストは書いてある会社が多い。しかし「一日の流れ」まで書いている採用ページは少ない。ここに差がある。
記載例として、事務職の場合はこんなイメージになる。
09:00 出社・当日のタスク確認
09:30 午前の作業(見積書作成・メール対応)
12:00 昼休憩(社員の多くは近くのランチへ)
13:00 午後の作業(顧客対応・書類整理)
15:00 週1回の全体MTG(15〜30分程度)
17:30 帰宅 ※残業は月平均5時間以内
残業の実態や昼休憩の過ごし方を入れることで「働くリアル」が伝わる。求職者が自分の生活との折り合いをつけながら判断できるようになる。
ポイント3:社員の声を1人分でも載せる
採用ページの中で最も読まれるコンテンツは、社員インタビューだ。理由はシンプルで、会社が書いた言葉より従業員の言葉の方が信頼されるからだ。
長文でなくてよい。以下の3点に答えた50〜100文字程度のコメントで十分だ。
- この会社に入った理由
- 実際に働いてみてよかったこと
- 大変だと感じること
「大変だと感じること」を書くことを躊躇う経営者は多い。ただ、これを入れることで「正直に伝えている」という信頼感が生まれる。入社後のミスマッチも減る。
写真も1枚添えるだけで説得力が変わる。スタジオで撮影した素材よりも、実際の職場で撮ったスナップの方が「本物感」が伝わりやすい。
ポイント4:給与・待遇を正直に書く
「給与は経験・能力に応じて優遇します」という一文は、求職者には何も伝わらない。実態がわからないため、応募するかどうかを判断できない。
最低でも以下は明示する。
- 月給(または時給)の最低〜最高の幅
- 試用期間の有無と、その間の待遇の違い
- 昇給の仕組み(年1回・査定あり等)
- 賞与の有無と実績(直近3年の支給実績など)
「正直に書いたら応募が来ないのでは」という心配をする経営者もいる。ただ、給与を曖昧にした結果、面接に来た人が「思ってたより低い」と辞退するパターンの方が、採用にかかるコストが高くつく。
条件面で他社に劣る部分があるなら、別の強みで補う。勤務時間の柔軟性、育休取得実績、少人数で裁量を持って働ける環境など、数字に出ない部分も正直に書く。
ポイント5:写真にリアリティを持たせる
採用ページに「素材っぽい写真」が使われていると、求職者は「この会社の実態は見えていない」と感じる。ストックフォトで笑顔のモデルが写っている写真や、汎用的なオフィスの写真がその典型だ。
用意すべき写真は以下の3種類だ。
- 実際のオフィスや作業現場の写真(日常的な風景で十分)
- 社員が仕事をしている様子(ポーズ写真より自然なシーン)
- 社員の顔写真(インタビューコメントと一緒に載せる)
スマートフォンで撮影した写真で問題ない。照明が明るい昼間に撮影する、整頓された状態で撮る、この2点を守るだけで印象は大幅に変わる。
ポイント6:スマートフォンで見た状態を確認する
求職者の多くはスマートフォンで求人情報を検索し、採用ページを閲覧する。PCで作ったページが、スマホで見ると文字が小さすぎる・横スクロールが必要・ボタンが押しづらい状態になっていることがある。
採用ページを更新したら、必ずスマートフォン実機で確認する。確認するポイントは以下だ。
- 文字のサイズが読みやすいか
- 表や箇条書きが崩れていないか
- 応募フォームへのリンクが目に入りやすいか
- ページの読み込みに時間がかかりすぎていないか
ポイント7:応募への導線を1ステップにする
「興味はあるけど、今日じゃなくていいか」という求職者の離脱を防ぐには、応募への導線を極力短くすることが有効だ。
採用ページに問い合わせ先のメールアドレスだけを書いている会社がある。これだと求職者は「メールを一から書かなければいけない」という手間が発生して離脱しやすい。
応募フォームをページ内に設置するか、ページの末尾に「応募する」ボタンを1つ用意する。フォームの入力項目は最小限(氏名・連絡先・簡単な自己紹介)にとどめる。
また、「気軽に聞きたい」という段階の求職者に対して、問い合わせへのハードルが高いと次のアクションを取れない。「まずは話を聞くだけでも歓迎です」という一文と、気軽に使える連絡手段(LINEや問い合わせフォーム)を合わせて用意すると、応募のきっかけを作りやすい。
採用ページはどこに作るか
7つのポイントを実践する前提として、採用ページをどこに用意するかを整理する。
既存ホームページに追加する(費用:ほぼゼロ)
すでに自社のホームページがある場合は、「採用情報」ページを追加するだけでよい。WordPressで運用しているなら、新規ページを1枚作成して上の情報を入力するだけで完成する。
デザインを凝る必要はない。7つのポイントを押さえた文章と写真があれば、専用の採用サイトと遜色ない情報量を持てる。
Indeed・ハローワークの求人票を充実させる(費用:ゼロ)
自社のホームページがない場合や、まず無料で始めたい場合は、Indeedや求人ボックスの無料掲載枠を活用する方法がある。
これらのサービスは求人票の文字数制限が大きく、写真も複数枚掲載できる。採用ページを別途作らなくても、求人票内にポイント1〜7の情報を盛り込むことはできる。
専用の採用サイトを制作する(費用:20万〜100万円)
採用に力を入れる段階になったら、専用の採用サイトを制作することも選択肢に入る。ただし、コンテンツが薄い状態で費用をかけても効果は出ない。まず上の7つのポイントを既存ページで実践し、応募が安定して来る状態を作ってから投資するのが現実的な順序だ。
まとめ
採用ページで応募数・質を上げるための7つのポイントを整理する。
- 求める人物像を具体的に書く
- 一日の流れを書く
- 社員の声を1人分でも載せる
- 給与・待遇を正直に書く
- 写真にリアリティを持たせる
- スマートフォンで見た状態を確認する
- 応募への導線を1ステップにする
費用をかけることよりも、「求職者が知りたい情報を正直に書く」ことの方が先に取り組むべきことだ。大手企業にはない等身大の情報を丁寧に伝えることが、中小企業の採用ページの強みになる。
採用後の業務体制を整えることも並行して考えたい場合は、以下も参考にしてほしい。