サービスの選び方

事務パートを採用するか外注するか?コストと品質を比較して判断する方法

事務作業を手伝ってもらうためにパートを採用したい——というのが、多くの経営者の最初のアイデアだ。求人を出して、面接して、採用する。イメージしやすい手順だから、自然とそこに向かう。

しかし近年では、事務パートの代わりに「外注(事務代行サービス)」を選ぶ会社が増えてきた。オンライン事務代行サービスが普及しており、従業員10〜30人規模の会社でも月数万円から利用できる。

この記事では、事務パートの採用と外注を、トータルコスト・採用の現実・品質・安定性の観点から比較する。どちらを選ぶべきか判断するための基準をチェックリストとあわせて整理する。

事務パートのコストは「時給×時間」だけではない

事務パートのコストを計算するとき、「時給1,300円 × 月50時間 = 65,000円」と計算する経営者が多い。しかし実際にかかる費用はそれだけではない。

採用にかかる費用

求人サイト(Indeedやタウンワーク等)への掲載費は、プランによって無料〜月数万円まで幅がある。採用1人あたりの求人費は3〜8万円程度になることが多い。

採用してもすぐ辞めた場合、また同じコストがかかる。中小企業のパート採用では1〜2年で退職するケースが少なくない。

教育・指示にかかる時間

パートが入社してから戦力になるまで、業務の複雑さによって1〜3ヶ月かかる。その間、業務を教える時間は経営者か他のスタッフが担う。この時間はコストとして見えにくいが、実際には相当な負荷になる。

業務内容が変わるたびに説明が必要になる。「こういう時はどうすればいいですか」という確認が日常的に発生する。

社会保険料の会社負担

パートの週所定労働時間が正社員の4分の3以上(おおむね週30時間以上)になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務が発生する。社会保険料の会社負担は月給の約15〜16%が目安だ(健康保険・厚生年金・雇用保険の合算)。月給10万円なら会社負担は約1.5万円。月給14万円なら約2.1万円が上乗せされる。

なお、2024年10月以降、従業員51人以上の企業では週20時間以上のパートも社保加入義務の対象となっている。

トータルコストの試算(月換算)

月60〜70時間稼働(週15〜17時間)するパートを採用した場合のコスト実態を整理すると、以下のようになる。

項目 金額(目安)
月給(時給1,300円×65時間) 84,500円
採用費(12ヶ月で均す) 4,000〜6,000円
教育・管理コスト(月2〜4時間分) 4,000〜8,000円
合計 92,000〜99,000円/月

「月8.5万円のパートを採用した」と思っていても、実態では月9〜10万円かかっている——この差は見落とされやすい。週30時間以上の勤務になれば社会保険料がさらに上乗せされる。

外注(事務代行)のコスト

事務代行サービスには、主にオンラインアシスタント型と業務特化型の2種類がある。

オンラインアシスタント型

フジ子さん・HELP YOU・i-STAFFなどのサービスが代表的だ。メール対応・データ入力・書類作成・スケジュール管理・経費精算など、幅広い事務業務を依頼できる。

費用の目安

月の稼働時間 月額費用の目安
10時間/月 25,000〜35,000円
20時間/月 50,000〜70,000円
30時間/月 75,000〜100,000円
40時間/月 100,000〜120,000円

時給換算すると2,500〜3,500円程度になるサービスが多い。

業務特化型(経理代行・採用事務等)

特定の業務に絞ったサービスは、オンラインアシスタントより安い場合がある。経理代行(記帳・給与計算・月次試算表)なら月3〜6万円が目安(従業員10〜15人規模)。採用事務の代行も、業務量に応じて月2〜5万円程度からある。

業務量別にコストを比較する

事務作業の月あたり時間数を基準に比較すると、以下のようになる。

月の事務作業量 事務パート採用の現実 外注費用の目安
10〜20時間/月 週2.5〜5時間では求人への応募が来ない 25,000〜50,000円
30〜50時間/月 月50,000〜80,000円(採用費・管理費含む) 60,000〜100,000円
60〜80時間/月 月90,000〜120,000円(週30時間以上なら社保上乗せ) 100,000〜160,000円
100時間/月以上 専任パート向き。月115,000〜145,000円 170,000〜230,000円

月20時間以下では、パート採用が成立しにくい。 週5時間未満の求人には応募が集まらないため、そもそも採用できないケースが多い。外注なら月10〜20時間単位で依頼できるサービスがある。

月30〜60時間では、コストは拮抗する。 パートの方が若干安くなる場合もあるが、採用コスト・教育コスト・退職リスクを考慮すると優位性は薄い。

月100時間以上になると、パートの方がコストを抑えやすくなる。 外注は時間単価が高いため、業務量が多くなるほど割高になる。

コスト以外の比較:品質・安定性・管理負荷

コストだけでなく、品質・安定性・管理負荷の観点も判断に影響する。

品質の安定性

事務パートの仕事の質は、採用できた人材によって変わる。スキルが高い人材を採用できた場合は問題ないが、採用時点でスキルが読みにくいことが多い。

一方、事務代行サービスは一定水準のスキルを持ったスタッフが業務を担当する設計になっている。ミスが発生した場合の対応もサービス側の責任範囲になるため、初めから品質の下限が確保されやすい。

退職リスクと業務継続

事務パートが退職した場合、業務が即日止まる。次の担当者が入社するまで数ヶ月空くことがある。一人に業務を任せきりにしている場合、その空白期間は経営者が全て引き受けることになる。

外注サービスは、担当者が変わっても業務が継続される設計になっている。会社側の都合で人が「辞める」という状況が発生しない。

日常の管理負荷

パートは勤怠管理・日常的な指示・細かな確認対応が必要になる。小さな会社では、パート1人の管理でも経営者の時間が思ったより取られる。

外注では、業務をタスクとして渡して結果を確認するだけのやり取りになることが多い。管理工数を抑えたい会社には向いている。

事務パートが向いているのはこういうケース

コストと利便性だけで判断すると見落としやすいが、事務パートの方が適している状況がある。

毎日の社内対応が必要な業務がある

電話対応・来客対応・毎日の現金確認・郵便物の処理など、社内にいないと対応できない業務がメインの場合、外注では対応できない。業務の性質がリモート非対応なら、パートを選ぶ必要がある。

月60〜80時間以上の業務量がある

業務量が多いほど外注は割高になる。月60時間を超えてくると、パートの方がコスト面で優位になる場合が多い。

長期的に同じ業務を固定して任せたい

特定の業務を継続的に担当してもらい、会社の内情を理解した上で動いてほしい場合、外注の担当者交代よりも固定のパートの方が合うケースがある。

外注が向いているのはこういうケース

以下の状況では、パートより外注を先に検討した方がいい。

月30時間以下の業務量

この業務量でパートを採用しようとすると、求人に応募が来ない。外注なら月10〜30時間単位で対応できるサービスがある。

今すぐ対応したい

パート採用は求人から入社まで数ヶ月かかる。「今月から業務を回したい」という場合、外注なら1〜2週間で稼働できるサービスが多い。

担当者の退職リスクを排除したい

過去に事務担当が急に辞めて業務が混乱した経験がある会社には、退職リスクのない外注が合う。

リモートで完結する業務がメイン

データ入力・書類作成・経費精算・スケジュール管理・採用書類の対応など、オンラインで完結する業務が中心なら外注で十分対応できる。

判断基準チェックリスト

以下を確認して、どちらが自社に合うか判断する。

パート採用が向いているケース(3つ以上当てはまれば)

  • [ ] 月の事務作業が60時間以上ある
  • [ ] 電話対応・来客対応など、毎日社内にいる必要がある業務が含まれる
  • [ ] 社内で業務を教える時間と余裕がある
  • [ ] 採用から入社まで3〜4ヶ月待てる状況にある
  • [ ] 特定の業務を長期間固定して担当してもらいたい

外注が向いているケース(3つ以上当てはまれば)

  • [ ] 月の事務作業が30時間以下
  • [ ] 今すぐ(1〜2週間以内に)対応を始めたい
  • [ ] 採用・教育のコストと手間を避けたい
  • [ ] 担当者が辞めた場合のリスクを避けたい
  • [ ] 対応が必要な業務がリモートで完結する(データ入力・書類作成・経費精算等)

まとめ

事務パートと外注の選択は、業務量と業務の性質で決まる。

  • 月20時間以下:そもそもパート採用が成立しにくい。外注で対応するのが現実的
  • 月30〜50時間:コストは拮抗するが、採用の手間・退職リスクを考えると外注が使いやすい
  • 月60時間以上:パートの方がコストを抑えやすく、毎日の対応業務があるなら特に適している

「外注で様子を見て、業務量が増えたらパートに切り替える」という順序も現実的だ。外注中に業務フローが整理されるため、後で採用した場合の教育がしやすくなる。

まず外注で対応できる業務の範囲と費用感を確認したい場合は、気軽に問い合わせてほしい。

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