事務・バックオフィス効率化

ビジネスチャットツール比較|Slack・Teams・Chatworkを中小企業向けに整理

「ビジネスチャットを入れたいんだけど、何を使えばいいのかよく分からない」

業務効率化に特化したエンジニアとして中小企業と関わってきた中で、こういう相談を受けることが多い。そのたびに僕が最初に確認するのは、「今、社内の連絡は何でやっていますか」「社外の取引先とのやりとりはどうですか」という2点だ。

ツールの機能を一覧で並べて比較しても、どれが自社に合うかは分からない。判断に必要なのは、自社の現状と照らし合わせた基準だ。

この記事では、日本の中小企業でよく使われているビジネスチャット4種(Chatwork・Microsoft Teams・Slack・LINE WORKS)について、実際に使う場面を想定しながら特徴と料金を整理する。ツール選定で迷っている方が、この記事を読んだ後に「うちはこれにする」と判断できる状態を目指した。

中小企業でよく使われるビジネスチャット4種の基本比較

2026年時点の国内シェアを見ると、Microsoft Teamsが67.8%と圧倒的なシェアを持つ。次いでGoogle Chat(7.8%)、Slack(7.5%)、LINE WORKS(4.9%)、Chatwork(2.3%)と続く。

ただし、この数字は大企業・中小企業すべてを含む。Teamsが多いのは、大企業がMicrosoft 365を一括導入しているケースが多いためだ。僕が実際に関わってきた中小企業(従業員5〜50人規模)に限ると、ChatworkやLINE WORKSを選んでいる会社の方が多い印象だ。

まず4ツールを横並びで確認する。

ツール 月額(年払い・税込) 月額(月払い・税込) 日本語UI 国内製 特徴
LINE WORKS 450円(スタンダード) 540円 LINEと同じUI。現場スタッフへの普及に強い
Microsoft Teams 599円(Essentials) 公式確認 Microsoft 365と統合。会議に強い
Chatwork 700円(ビジネス) 840円 シンプルで中小企業向け。取引先招待無料
Slack 925円(プロ) 1,050円 外部連携が豊富。エンジニアに人気

※料金は税込。プラン・為替・改定により変動があるため、最新は各公式サイトで確認してほしい。

コスト面だけで見るとLINE WORKSが最安で、年払いで450円/月。Slackが最も高く、月払いでは1,050円/月になる。

選ぶ前に確認すべき2つの判断基準

ツールの機能比較の前に、この2つの問いに答えてほしい。ここで答えが出れば、選択肢はほぼ絞れる。

判断基準1:Microsoft 365(Word・Excel・Outlook)をすでに使っているか

使っているなら、まずMicrosoft Teamsを確認する。Teams EssentialsはMicrosoft 365 Business Basicプランに含まれており、追加費用なしで使える場合がある。つまり、すでに払っている費用の中でビジネスチャットが手に入る可能性がある。

以前関わった不動産会社では、すでにMicrosoft 365 Business Basicを全社員分契約していたにもかかわらず、Chatworkに別途月額を払っていた。確認してみたらTeamsが無料で使えると判明し、Chatworkを解約した。年間で約84,000円の節約になった。新しいサービスに月額を払う前に、今使っているMicrosoftのライセンスを確認するだけで、ツール選定がシンプルになることがある。

判断基準2:PC不慣れなスタッフが多い現場か

製造業・飲食業・介護・建設など、PCをほとんど触らないスタッフが多い場合は、LINE WORKSが選択肢に入る。

「LINEと同じUI」という点が重要で、プライベートでLINEを使っているスタッフが多い環境なら、操作の学習コストがほぼゼロになる。実際に関わった介護施設では、60代のパートスタッフにLINE WORKSを導入したところ、「LINEと同じだから覚えることがない」と言って3日で全員が使えるようになった。Slackを試した時は1週間後に半分が使わなくなっていたのと対照的だった。「新しいツールを覚えてください」と言うのが難しい会社、パートスタッフが多い職場には向いている。

この2つに当てはまらない場合、ChatworkかSlackが選択肢になる。

各ツールの特徴と向いている会社

Chatwork:日本製。中小企業のデフォルト候補

2011年リリースの日本製ビジネスチャット。会計事務所・士業・不動産会社・中小メーカーなど、IT系でない会社での採用実績が多い。

向いている会社

  • Microsoft 365もLINE WORKSも特段理由がない
  • 取引先・顧問先と外部のやりとりも一元化したい
  • ITに詳しくないスタッフが多く、シンプルなUIが必要

料金(2026年版)

プラン 年払い(1人/月) 月払い(1人/月)
フリー 無料(機能制限あり)
ビジネス 700円 840円
エンタープライズ 1,200円 1,440円

フリープランはメッセージ履歴が過去40日分のみ閲覧できる。業務のやりとりを記録として残したい場合は有料プランが前提になる。

強み

社外ユーザーを無料で招待できる点は、他のツールにはない特長だ。取引先や外部スタッフと同じツールでやりとりでき、メールに戻す必要がない。タスク管理機能も一体になっており、「Aさんにお願いした件」を忘れにくい設計になっている。

注意点

Slackのような外部サービス連携(API連携・ワークフロー自動化)は限られる。エンジニアが社内にいて、GitHubやSalesforceと連携したい会社には物足りない。

Microsoft Teams:Microsoft 365ユーザーなら最初に検討する

Microsoftが提供するビジネスチャット・ビデオ会議ツール。機能の幅が広いため、最初は複雑に感じる会社もある。

向いている会社

  • Microsoft 365(Word・Excel・OneDrive・Outlook)をすでに使っている
  • Web会議を週3回以上行う
  • SharePointでファイルを共有管理したい

料金(2026年版)

プラン 年払い(1人/月) 含まれるもの
Teams Essentials 599円 Teams・OneDrive 10GB
Microsoft 365 Business Basic 899円 Teams+Outlook・Exchange・OneDrive 1TB

Microsoft 365 Business Basicを契約していれば、Teamsは追加費用なしで使える。

強み

ビデオ会議の品質が高く、会議の録画・文字起こしも対応している(Business Basic以上)。ExcelファイルをTeamsのチャンネル内で直接開いて複数人が同時編集できるのは、他のツールにはない連携の深さだ。

注意点

「チャンネル」と「チャット」が別の概念として存在するため、初見ではわかりにくい。社外ユーザーを招待する際、相手にMicrosoftアカウントが必要になるケースがあり、取引先の環境によっては手続きが面倒になる。

ビデオ会議はZoomとの比較も多い。この比較はZoomとTeamsどちらがいい?中小企業向けビデオ会議ツール比較で整理しているので参考にしてほしい。

Slack:外部サービスと連携が必要な会社向け

アメリカ発のビジネスチャット。日本ではIT企業・Web制作会社・スタートアップでの採用が多い。

向いている会社

  • GitHub・Jira・Salesforceなど、外部サービスとSlackを連携させたい
  • 社内にエンジニアが複数いる
  • ワークフロー自動化を使いたい

料金(2026年版)

プラン 年払い(1人/月) 月払い(1人/月)
フリー 無料(メッセージ90日制限)
プロ 925円 1,050円
ビジネスプラス 1,720円 1,920円

フリープランは過去90日分のメッセージのみ閲覧できる。プロプランは4ツールの中で最も高い部類に入る。

強み

外部サービスとの連携(インテグレーション)の幅が断トツで広い。GitHubのプルリクエスト通知をSlackに流す、問い合わせフォームの送信をSlackに通知する、といった自動化がコードなしで設定できる。チャンネル設計の柔軟性も高く、業務ごと・プロジェクトごとに細かく分けられる。

注意点

IT系でない会社に導入すると、使いこなせず定着しないことが多い。機能の豊富さゆえに「どこに何を書けばいいか分からない」という状態が起きやすい。単純にチャットとして使うだけならSlackを使う理由はなく、コストだけが増える。

LINE WORKS:現場スタッフへの普及に最も強い

LINEのビジネス版として、ワークスモバイルジャパンが提供するサービス。

向いている会社

  • 工場・店舗・介護・建設など、現場スタッフにスマートフォンで連絡を取りたい
  • 個人LINEと仕事の連絡を分けたい
  • コストを抑えたい

料金(2026年版)

プラン 年払い(1人/月) 月払い(1人/月)
フリー 無料(30名まで)
スタンダード 450円 540円
アドバンスト 900円 1,080円

スタンダードプランは4ツールの中で最も安く、年払いで450円/月。

強み

LINEと同じデザイン・操作感のため、「新しいツールを覚えてください」という抵抗感が出にくい。スタンプも使えるため、現場スタッフの心理的ハードルが下がる。外部のLINEユーザーと直接やりとりできる機能もある。

注意点

Slackのような高度な外部連携や業務フロー自動化には向いていない。業務管理やプロジェクト管理の機能はシンプルなものに限られる。

料金の現実的な試算(10人・30人・50人規模)

会社の規模別に年間コストを比較する。料金は年払い・税込を基準にした。

10人の会社で年間コスト

ツール プラン 月額(10人) 年間コスト
LINE WORKS スタンダード 4,500円 54,000円
Chatwork ビジネス 7,000円 84,000円
Teams Essentials 5,990円 71,880円
Slack プロ 9,250円 111,000円

30人の会社で年間コスト

ツール プラン 月額(30人) 年間コスト
LINE WORKS スタンダード 13,500円 162,000円
Teams Essentials 17,970円 215,640円
Chatwork ビジネス 21,000円 252,000円
Slack プロ 27,750円 333,000円

50人の会社で年間コスト

ツール プラン 月額(50人) 年間コスト
LINE WORKS スタンダード 22,500円 270,000円
Teams Essentials 29,950円 359,400円
Chatwork ビジネス 35,000円 420,000円
Slack プロ 46,250円 555,000円

Slackは人数が増えるほどコスト差が大きくなる。50人規模だと、LINE WORKSとSlackの年間差額は285,000円になる。この差額を正当化できる機能が自社に必要かどうか、事前に考えておく価値がある。

一方、Microsoft 365 Business Basicをすでに契約しているなら、Teamsは実質追加費用なしで使える。その場合のコスト比較は成立しない。まずは今使っているMicrosoftのライセンスを確認することを勧める。

ビジネスチャット導入で失敗しないためのポイント

失敗パターン1:全員に一斉展開してスタート

ビジネスチャットの導入でよくある失敗が、「全員分のアカウントを作って、一斉にスタートします」という進め方だ。僕が見てきたケースでは、初日は使われるが1週間後には誰もチェックしていない、という状態になっていた。

理由は単純で、「何をチャットに書いて、何はメールのままか」が決まっていないからだ。ルールなしに入れると、情報が分散するだけで混乱する。

最初にやるべきことは、使うチャンネルを5本以内に絞り、「これはチャットに書く」「これはメールのまま」の区別を決めることだ。

失敗パターン2:ツールを2種類以上使い分ける

「社内はSlack、取引先とはChatwork」という状態を選んでいる会社がある。情報が分散し、どちらを見ればいいか分からなくなりやすい。2つのチャットを管理するコストも無視できない。

できるだけ1つに集約する方向で設計する。どうしても社外取引先が特定ツールを指定してくる場合は、その取引先専用に限定して使い、社内連絡は1つに統一するのが現実的だ。

失敗パターン3:無料プランのまま本格運用する

Chatworkの無料プランはメッセージ履歴が過去40日分、Slackは過去90日分しか遡れない。業務の記録が消えていくのは、ツールを入れた意味を薄くする。

試しに使う段階なら無料プランで問題ない。ただし本格的に業務連絡をチャットに移行するなら、有料プランを前提にコスト計算した上で始める方が失敗が少ない。

デジタルツール導入で失敗する4つのパターンと対策でも似たような構造を整理しているので、導入前に確認してほしい。

実際に導入を進めるときの手順

  • 現状把握: 今の社内連絡手段(メール・LINE・電話)と、社外とのやりとり手段を書き出す
  • 優先ツールを1つ選ぶ: 上記の判断基準2つで候補を絞る
  • 無料プランで2週間試す: まず5〜10人のグループで試験的に使う。チャンネルは3〜5本に絞る
  • ルールを決める: 「緊急連絡はチャット」「共有資料はここ」「外部連絡はここ」を明文化
  • 全員に展開: ルールが固まってから全社に展開する

試験運用で「使いにくい」と感じたら、ツール変更よりも「使い方のルール」を先に見直す。多くの場合、ツールではなくルールの問題だ。

社内の情報共有がうまくいかない会社に足りないものでも書いているが、ツールを変えても情報共有が改善しない会社の共通点は「何をどこに書くか」が決まっていないことだ。ビジネスチャットを入れる前に、この問いに答えておくことが重要になる。

一般論と違う点を正直に書く

「ビジネスチャット比較」を検索すると、多くのメディアが機能一覧と料金を並べて「あとは好みで選んでください」という内容になっている。

僕の意見は少し違う。複数の中小企業でツール選定に関わってきた経験から言うと、機能の多さと実際の定着率はほとんど関係がない。

中小企業がビジネスチャットを選ぶ時、機能より先に「誰が使うか」と「今使っているMicrosoftのライセンス」を確認する方が、選定ミスが減る。

Slackのワークフロー自動化やAPIの豊富さは確かに魅力的だが、社内のIT担当が1人もいない、あるいはパートスタッフが多い現場では、その機能は使われない。月額Slackプロが1,050円/人だとすると、30人の会社で年間378,000円かかる。同じ会社がChatworkのビジネスプランにすれば年間252,000円で済む。年間で126,000円の差は、他の施策に使える金額だ。

ツールの機能で選ぶより、「今いるメンバーが使い続けられるか」と「今使っているツールと連携できるか」の2点を先に考えてほしい。

実際に業務効率化の相談に乗る中で見てきた経験から言うと、ビジネスチャットの導入失敗は「ツール選びの間違い」よりも「使い始め方の設計ミス」によるものがほとんどだ。どのツールを選んでも、最初のルール設計と試験運用の段階を丁寧にやるかどうかで、定着率が大きく変わる。

まとめ:会社の状況で選択肢は絞れる

ビジネスチャットは「どれが機能的に優れているか」ではなく「自社の状況に合っているか」で選ぶ。

状況 推奨ツール
Microsoft 365をすでに使っている Microsoft Teams(追加費用なしで使える可能性が高い)
現場スタッフへの普及が優先・コスト重視 LINE WORKS
社外取引先との連絡も一元化したい・シンプルさ優先 Chatwork
エンジニアがいる・外部ツール連携が必要 Slack(費用対効果を事前に確認してから)

最初からベストなツールを選ぼうとすると決められなくなる。無料プランで2週間試して、実際に使ってみた感触で判断するのが現実的だ。

業務ツール全般を見直したい場合は中小企業の業務効率化ツール10選|目的別の選び方ガイドも参考にしてほしい。

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