「ZoomかTeamsか」と聞かれたら、まず使う用途を確認する。どちらが優れているかではなく、会社の状況によって向き不向きが変わる。この記事では中小企業がビデオ会議ツールを選ぶ際に本当に見るべきポイントを整理し、料金・機能・使い勝手を具体的な数字で比較する。
中小企業がZoom vs Teamsで迷うとき、本当に見るべき2つの基準
機能の細かい違いを一覧で比べても、どちらを選べばいいかは分からない。中小企業がビデオ会議ツールを選ぶ時に確認すべきことはシンプルで、たった2つだ。
1. 社外の人と頻繁に会議をするか
クライアント、取引先、外部パートナーとオンラインで打ち合わせをする機会が月に複数回あるなら、Zoomが有利だ。ZoomはURLを送るだけで相手がアカウントなしで参加できる。Teamsの場合、社外ユーザーの招待は設定によって制限されることがあり、参加する側がブラウザやアプリから入る手間がかかるケースがある。
2. 社内でMicrosoft 365(Word・Excel・Outlookなど)をすでに使っているか
すでにMicrosoft 365を契約しているなら、Teamsは追加費用なしで使える(プランによる)。月額2,000円前後のZoomを別途契約するより、既存コストの範囲内で済む。
この2点を確認するだけで、大半の会社は答えが出る。
| 条件 | 推奨ツール |
|---|---|
| 社外との会議が月10回以上ある | Zoom |
| Microsoft 365をすでに契約中 | Teams |
| Google Workspaceをメインで使っている | Zoom または Google Meet |
| どちらでもない | Zoom無料版から試す |
Zoom vs Teams 料金の実態比較
「どちらが安いか」は前提条件によって変わる。まず無料版の制限から見ていく。
無料版でどこまで使えるか
| 機能 | Zoom 無料版 | Teams 無料版 |
|---|---|---|
| 1対1通話 | 無制限 | 無制限 |
| グループ会議(3人以上)の時間 | 40分まで | 60分まで |
| 最大参加人数 | 100人 | 100人 |
| 会議の録画 | ローカル保存可 | 不可 |
| 画面共有 | 可 | 可 |
| ホワイトボード | 可 | 可 |
Zoomの無料版は3人以上のグループ会議で40分を超えると自動終了する。商談中に会議が切れると相手に対して印象が悪い。1時間以上の会議を想定するなら無料版には限界がある。
Teamsの無料版は60分まで使えるが、録画ができない。採用面接やウェビナーなど、後から見直す必要がある会議には向かない。
有料版の料金比較(2026年6月時点の参考値)
| プラン | 月額(ユーザーあたり・年間契約) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Zoom Workplace Pro | 約2,200円 | 会議30時間、1GB録画ストレージ、AI Companion |
| Microsoft 365 Business Basic | 約900円 | Teams + Outlook + OneDrive 1TB |
| Microsoft 365 Business Standard | 約1,870円 | Teams + Office全製品(Word/Excel/PowerPoint込み) |
| Microsoft 365 Business Standard + Copilot | 約6,370円 | AI議事録・要約機能付き |
※料金は為替や公式の価格改定で変わる。契約前は各公式サイトで最新価格を確認すること。
従業員10人の会社でシミュレーションすると:
- Zoom Workplace Pro 10ユーザー → 月額約22,000円
- Microsoft 365 Business Basic 10ユーザー → 月額約9,000円(Teams込み)
- Microsoft 365 Business Standard 10ユーザー → 月額約18,700円(Office + Teams込み)
Microsoft 365でOfficeも使いたいなら、Teams一択でコスト面では大きく有利になる。ZoomとMicrosoft 365 Standardを両方契約すると月に40,700円以上になるのに対し、Microsoft 365 Standardだけで完結すれば18,700円で済む。
機能と使い勝手の詳細比較
社外の人を招待する時の違い
Zoomは招待URLをクリックするだけで参加できる。アカウント不要、アプリのインストールも不要(ブラウザ参加が可能)。はじめて会う取引先、ITに不慣れな顧客、年配の担当者でも問題なく繋がれる。社外との会議をメインにするなら、この差は実務上かなり大きい。
Teamsは設定によって社外ユーザーの招待が制限される場合がある。管理者がゲストアクセスを有効化すれば使えるが、参加する側がMicrosoftアカウントを持っていないと一部機能が使えないこともある。ゲストとして参加する場合は、ブラウザかTeamsアプリのインストールが必要になるため、相手側の操作ハードルがZoomより高い。
社内コミュニケーション一元化の可能性
Teamsの強みは、ビデオ会議だけでなくチャット・ファイル共有・タスク管理が1つのアプリに収まっている点だ。OutlookのカレンダーとTeamsの会議が連動するため、会議の設定がスムーズになる。社内の情報共有ツールとして使い始めると、メールとチャットを使い分ける手間が減り、業務の流れが変わりやすい。
Zoomはビデオ会議に特化しているため、チャットやファイル共有はTeamsには及ばない。ただし、会議の品質に集中しているため、操作がシンプルで定着しやすいという面もある。
AI機能(議事録・要約)の比較
Teamsは「Microsoft Copilot」として会議の要約・アクションアイテム抽出・文字起こしが利用できる。ただし、Copilotを使うには別途ライセンス(Microsoft 365 Copilotとして月額約4,500円/ユーザー)が必要なケースが多い。
ZoomはAI Companionとして会議の要約・チャット返信サポートを提供している。2024年以降、一部の有料プランではAI Companionが追加費用なしで利用できるようになった。議事録の自動作成を重視するなら、この点も確認したい。
| AI機能 | Zoom AI Companion | Teams Copilot |
|---|---|---|
| 議事録・要約の自動生成 | 有料プランに含む(プランによる) | 別途Copilotライセンスが必要 |
| チャット返信サポート | あり | あり |
| アクションアイテム抽出 | あり | あり |
| 文字起こし | あり | あり |
| 追加コスト | 有料プランに内包されるケースあり | 月額約4,500円/ユーザー追加 |
業種・用途別の選び方ガイド
Zoomが向いている会社のパターン
- 顧客・取引先・外部パートナーとの会議が月5回以上ある
- IT環境がばらばらな相手と頻繁にやりとりする(Macユーザー・Androidユーザー混在等)
- ウェビナーやオンラインセミナーを定期開催したい
- Microsoft製品をほとんど使っていない
- 映像・音声の品質を最優先にしたい
Zoomが特に強みを発揮するのは、社外の人を頻繁に招待する仕事だ。コンサルタント、フリーランス、採用活動を外部向けに行う会社、顧客向けにオンラインサポートを提供する会社などは、Zoomの方が実務の摩擦が少ない。
Teamsが向いている会社のパターン
- Microsoft 365をすでに契約している(または契約を検討している)
- 社内コミュニケーション全体を1つのアプリにまとめたい
- チャット・ファイル共有・会議を一元化したい
- Office製品(Word・Excel)を日常的に使っている
- セキュリティポリシーや情報管理をMicrosoft環境で統一したい
Microsoft 365を既に使っている会社にとって、Teamsは実質的に追加コストがかかりにくい。月900円前後のBasicプランにTeamsが含まれているため、ツールを増やさず既存環境に統合できる。
僕が見てきた中小企業のパターン
業務効率化に特化したエンジニアとして複数の中小企業に関わってきた経験からいうと、ビデオ会議ツールの選定でよく見るパターンが2つある。
1つ目は「Zoomを使っていたがTeamsに変えた」ケースだ。これは大抵、Microsoft 365を全社導入したタイミングで起きる。コストが一元化でき、Outlookカレンダーとの連動が便利になったという声が多い。経営者から「ツールを減らせてすっきりした」という話を実際に聞いた。
2つ目は「Teamsを入れたが社外との会議はZoomに戻った」ケースだ。社外の人をTeamsの会議に招待するステップが面倒で、相手から「使い方が分からない」と言われることが多かったためだ。結果として「社内はTeams、社外との会議はZoom」という使い分けに落ち着く。
僕自身、ジムフリの制作や打ち合わせでは用途によって使い分けている。社内のタスク管理・連絡はTeamsに統合し、外部のパートナーとの会議はZoomを使う機会が多い。2つを使い分けることで「どっちを使う?」という混乱は起きるが、相手側の使いやすさを優先した結果、この形に落ち着いた。
SaaSを導入しても現場で使われない理由と対策でも書いたが、ツール選定よりも「誰が何のために使うか」を先に決める方が、導入後の定着率が上がる。ツールを決める前に「社外との会議が多いのか、社内の整理をしたいのか」を明確にしてほしい。
よくある疑問に答える
Q: Zoomの無料版だけで運用できますか?
1対1の打ち合わせだけなら問題ない。3人以上の会議が40分以上になる場合は有料版が必要になる。社内の短い打ち合わせだけなら、無料版で十分なケースも多い。
Q: Teams無料版とMicrosoft 365のTeamsは何が違いますか?
Teams無料版は会議が60分まで、録画できない、ストレージが限られる。Microsoft 365に含まれるTeamsは録画機能(OneDriveへの保存)、会議時間の上限なし、会議参加人数1,000人まで対応などが使える。
Q: 両方を使い分けることはできますか?
できる。社内連絡・ファイル共有はTeams、社外との会議はZoomという運用は実際に行われている。ただしツールが増えると「どっちを使う?」という混乱が起きやすい。最初は1つに絞り、不満が出てきたら検討するのが現実的だ。
Q: Google Meetとの比較はどうなりますか?
Google WorkspaceをメインにしているならGoogle Meetが最も統合しやすい。Gmail・Googleカレンダーとの連動が便利で、社外招待もZoomと同様にURLで参加できる。ZoomかTeamsかで迷っているが、社内ではGmailを使っているという場合は、Google Meetも選択肢に入れてほしい。
デジタルツール導入で失敗する4つのパターンと対策でもまとめているが、ツールを選ぶ前に「現在の業務でどこが一番困っているか」を整理しておくことで、導入後の失敗リスクが下がる。
まとめ:ZoomとTeams、どちらを選ぶか
ZoomとTeamsの比較をまとめると以下になる。
| 判断軸 | Zoom | Teams |
|---|---|---|
| 社外への招待しやすさ | ◎ URLのみ、アカウント不要 | △ 設定次第、相手に操作が必要 |
| コスト(Microsoft 365利用者) | △ 追加費用が発生 | ◎ 既存コストで使える |
| 社内コミュニケーション統合 | △ 会議特化 | ◎ チャット・ファイル共有も一体 |
| 映像・音声の安定性 | ◎ 評判が高い | ○ 近年改善が進む |
| AI議事録(追加コストなし) | ○ 一部プランに含む | △ Copilotライセンスが別途必要 |
| 操作のシンプルさ | ◎ 会議特化でシンプル | ○ 機能が多い分、慣れが必要 |
判断のポイントを最後に整理する。
Zoomを選ぶ理由:社外の人を毎週招待して会議をする。相手がITに不慣れでも確実に繋がれる手軽さが必要。Microsoft製品の使用が少ない。
Teamsを選ぶ理由:Microsoft 365をすでに使っている。社内の連絡・ファイル共有・会議を1つのアプリに統一したい。追加コストをかけたくない。
どちらが優れているという話ではない。自社の現状(既存ツール・会議の相手・月の会議頻度)に合わせて選ぶことで、費用対効果が変わる。判断に迷ったらこの2点だけ確認する。社外との会議が多いか、Microsoft 365を使っているか。これだけでほぼ決まる。