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中小企業の資金繰り管理をツールで楽にする方法|無料サービス比較

資金繰り表をエクセルで毎月手作業で更新している、あるいはそもそも作っていない、という中小企業は少なくない。売上は立っているから大丈夫だと思っていたら、月末に口座残高が足りなくなった——これが「黒字倒産」と呼ばれる状況の入口だ。

問題は「資金繰りを管理していなかった」ことそのものではなく、「手作業で管理しようとして、気がつけば古いデータしか残っていない」という状態にある。エクセルで作った資金繰り表は、更新が止まった時点で機能しなくなる。更新が止まるのは、入力が手間だからだ。

この記事では、資金繰り管理を仕組みで回すために使えるツールを整理する。無料で使えるものと、すでに使っている会計ソフトの機能を活かす方法、両方を紹介する。

資金繰り管理の方法は3つある

どれが合うかは、会社の規模とすでに何を使っているかによって変わる。

方法 向いているケース コスト
エクセル(自作) 入出金の種類が少なく、月次確認で十分 無料(ただし更新が止まりやすい)
専用クラウドツール 会計ソフトなしで資金繰りだけを管理したい 無料〜月数千円
会計ソフトの付属機能 freee・マネーフォワードをすでに使っている 既存の月額内に含まれる場合が多い

エクセルで管理できる会社は、入出金のパターンが単純で月次確認で十分な場合に限られる。請求サイクルが複数あったり、取引先ごとに入金日が異なったりすると、エクセルでの管理は現実的に続かなくなる。

無料で使える専用ツール

GUULY(グーリー)

入出金予定を登録すると、自動で月次・日次・年次の資金繰り表を作成してくれるクラウドツールだ。簿記の知識がなくても操作できる設計になっており、「請求書を発行したら入金予定を登録する」という使い方が基本になる。

無料プランで基本機能が使える。有料プランは月額1,650円。freeeやマネーフォワードとのデータ連携にも対応している。

向いているケース: 会計ソフトを使っていない、または会計ソフトの資金繰り機能が使いにくいと感じている会社。

milestone(マイルストーン)

会計帳簿への入力を必要とせず、入出金予定を登録するだけで資金残高の動きを可視化できるツールだ。基本機能は無料で利用できる。複数人でのクラウド共有に対応しており、経営者と担当者が同じ画面を見ながら確認できる。

向いているケース: 簿記の担当者がおらず、経営者自身が現金の動きだけをシンプルに把握したい場合。

既に会計ソフトを使っているなら追加ツールは不要かもしれない

freee・マネーフォワード・弥生を使っている会社は、すでに資金繰り機能が含まれていることが多い。

freee会計

売掛金・買掛金の管理データをもとに、入出金予定のレポートを確認できる。追加費用なしで利用可能だ。請求書・支払いのデータがfreeeに集約されている会社であれば、資金繰り表の自動生成に近い使い方ができる。

マネーフォワード クラウド会計

「キャッシュフロー」レポートで月次の資金の動きを確認できる。銀行口座との自動連携が充実しているため、実残高の把握は自動化しやすい。将来の資金残高の予測機能はプランによって異なるため、利用中のプランの機能一覧を確認してほしい。

弥生会計

「将来の資金残高」のシミュレーション機能が搭載されており、60日先までの資金の動きを確認できる。ただし、入出金データを弥生に集約していることが前提になる。

どのソフトも「データが入力されていること」が前提だ。経費の精算が遅れていたり、請求書の登録が月末まとめになっていたりすると、資金繰り機能を使っても精度が出ない。

追加ツールが必要かどうかの判断基準

状況 判断
freee・マネーフォワードを使っており、データが常時更新されている 追加ツール不要。まず付属機能を使う
会計ソフトを使っているが、入力が月末まとめになっている ツール追加より入力運用の改善が先
会計ソフトを使っておらず、エクセルで管理している GUULY・milestoneなど専用ツールが選択肢
週次・日次で資金の動きを把握したい 専用ツールまたは会計ソフトの上位プランを検討

資金繰り管理のツールを追加する前に確認すべきなのは、「現状の会計ソフトを正しく使えているか」だ。freeeやマネーフォワードを契約しているのに、入力が追いついていない状態では機能しない。

新しいツールを入れることよりも、既存の会計ソフトへのデータ入力の運用を整える方が、先に解決できる問題が多い。

まとめ

資金繰り管理のツールを選ぶ際のポイントを整理する。

  • 会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)を使っている会社: まず付属の資金繰り機能を使う。データが追いついていれば追加ツールは不要
  • 会計ソフトを使っていない会社: GUULY(無料〜月1,650円)またはmilestone(無料)が現実的な選択肢
  • エクセル管理を続けている会社: 更新が止まるリスクを認識した上で、専用ツールへの移行を検討する

どのツールを選んでも、入出金のデータを定期的に更新する運用が整っていないと意味をなさない。ツールを入れる前に、「誰が」「いつ」「何を登録するか」のルールを先に決めることが重要だ。

経理を含むバックオフィス業務の効率化を何から手をつけるべきか整理したい場合は業務効率化は何から始める?最初の一歩を具体的に解説も参考にしてほしい。

会計ソフトの選定や業務全体の効率化について相談したい場合は業務効率化の相談はどこにすればいい?中小企業向けの相談先まとめも参照してほしい。

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