「SNS運用を外注した方がいいか」という相談が増えている。
話を聞くと、2つのパターンに分かれる。「やらなければと思っているが担当者がいない」「自社でやっているが成果が出ない」だ。どちらのケースも、外注費用を調べる前に確認しておくべきことがある。
それは、SNSが自社の業種・目的に合ったチャネルかどうかという点だ。
この記事では、SNS運用を外注する場合の費用相場を業務内容・媒体別に整理したうえで、外注が向くケース・向かないケースの判断基準を解説する。
まず「SNSで何を達成したいか」を決める
外注先を探す前に、目的を明確にする必要がある。目的が曖昧なまま代行会社と契約すると、数ヶ月後に「投稿はされているが何も変わっていない」という状態になりやすい。
SNSが効きやすい目的
- 採用広報: 会社の雰囲気・職場環境を発信して応募を増やす
- ブランド認知: BtoC商品の認知拡大(飲食・美容・小売など)
- 顧客との関係維持: 既存顧客との接点を継続的に持つ
SNSだけでは難しい目的
- 即時の問い合わせ獲得: SNSは検索意図を持つユーザーが少なく、問い合わせへの転換率は低い
- BtoBの新規開拓: 経理・総務・IT部門を対象にした法人営業は、SNSより検索からの流入の方が問い合わせに結びつきやすい
特にBtoB・高単価・検討期間が長いサービスの場合、SNSへの投資対効果はSEOや問い合わせ対応との比較で検証してから外注を判断したほうがいい。
SNS運用代行の費用相場
外注する業務の範囲によって、費用は大きく変わる。
業務範囲別の月額費用
| 業務範囲 | 月額の目安 | 含まれる内容 |
|---|---|---|
| 投稿代行のみ | 5〜10万円 | 月8〜12本の投稿作業。素材・テキストは自社提供。戦略・分析は含まない |
| 投稿+コメント・DM対応 | 10〜20万円 | 投稿代行に加えて、日常的なコメント返信・DM対応を代行 |
| 戦略立案+クリエイティブ制作+広告運用 | 20〜50万円 | 運用方針の設計からクリエイティブ制作・広告出稿まで含むフルパッケージ |
初期費用として、アカウント設計・運用方針の策定に10〜50万円かかることが多い。既存アカウントの引き継ぎであれば、初期費用が低くなるケースもある。
媒体別の費用差
媒体による基本料金の差は小さいが、Instagram(特に動画・リール制作が含まれる場合)はクリエイティブ制作コストが加算されやすく、実費は高くなる傾向がある。
| 媒体 | 費用の特徴 |
|---|---|
| 画像・動画の制作費が加算されやすく、月20〜30万円になりやすい | |
| X(旧Twitter) | テキスト中心のため制作費が抑えやすい。月10〜20万円が目安 |
| 企業情報の掲載・投稿はXと同程度の費用感 | |
| YouTube | 動画制作が必須で別途制作費が発生するため、他媒体より費用が高い |
フリーランスと代行会社、どちらに頼むか
外注先は「代行会社」と「フリーランス」に分かれる。
代行会社
複数の担当者が分業で対応するため、一定の品質が安定しやすい。月額10万円以上から。担当者が変わっても組織としてサービスが続く点は安定感がある。
向くケース: 戦略から実行まで丸ごと任せたい、予算に余裕がある。
フリーランス
代行会社より費用を抑えやすく、月3〜8万円程度から依頼できる。担当者との距離が近く、細かい修正指示が通りやすい。一方で、担当者の体調不良や廃業で運用が止まるリスク、スキルのばらつきが大きい点はデメリットだ。
向くケース: 予算を抑えたい、投稿頻度が低く業務量が少ない、信頼できる個人に直接依頼したい。
丸投げで失敗するパターン
SNS運用代行の失敗事例で多いのは、「すべて任せます」と初期に伝えて連絡を絶つパターンだ。
代行会社はSNS運用のプロだが、自社のブランドトーン・ターゲット・商品の文脈を熟知しているわけではない。丸投げすると投稿の方向性がズレ始め、後から修正指示が増えて逆に工数が増えることがある。
また、外注期間中にノウハウが社内に蓄積されないため、契約終了後に内製化しようとしてもどこから手を付けるか分からなくなるリスクもある。
外注を機能させるための最低限の関与
- 月1回の定例MTGで数値を確認し、方向性をすり合わせる
- 「このトーンは違う」「このネタは触れてほしくない」という情報を最初にまとめて渡す
- 自社のサービス情報・事例・写真素材を定期的に提供する(代行会社が作れる素材には限界がある)
外注は「完全に手を離す」ことではなく「運用の手を離す」ことだと理解しておくと、失敗が少ない。
外注が向くケース・向かないケースの整理
以下を判断の目安にしてほしい。
外注が向くケース
- SNS運用の目的が明確になっている(採用広報・ブランド認知など)
- 月10万円以上の予算を継続的に投じられる
- 社内にSNSの専任担当者がおらず、本業を優先したい
- 自社でやっていたが成果が出ておらず、外部の視点を入れたい
外注が向かないケース
- 「とりあえずSNSをやっておいた方がいい」という理由で検討している
- 月5万円以下の予算しか割けない(投稿代行はできても成果につなげるのは難しい)
- 自社のブランドトーンが確立されておらず、どんな発信をすべきか方針が決まっていない
- BtoBサービスで、問い合わせ獲得が主目的になっている
自社のSNS運用が外注で解決できる問題かどうか、業種・目的・予算をヒアリングした上で判断材料をお伝えできる。
まとめ
中小企業がSNS運用を外注する場合の費用と判断基準を整理した。
費用の目安
- 投稿代行のみ: 月5〜10万円
- 投稿+コメント・DM対応: 月10〜20万円
- 戦略立案〜広告運用のフルパッケージ: 月20〜50万円
判断のポイント
- BtoB・高単価・検討期間が長いサービスは、SNSより検索(SEO)からの流入の方が問い合わせに結びつきやすい
- 外注する場合も、月1回の数値確認と素材提供など最低限の関与は必要
- 月5万円以下の予算で成果を求めるのは難しい。この規模なら自社運用を整えた方が合う
外注するかどうかより先に、「SNSで何を達成したいか」「それはSNSで達成できる目的か」を確認することが最初の判断になる。
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