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中小企業のオフィスコストを削減する方法|レイアウト変更から移転まで

毎月の賃料を払いながら、空いている席が目立つ。来客もほとんどないのに、広いエントランスがある。テレワークを導入したが、オフィスの広さはそのままだ。

こういう状態に気づいていても、「移転は手間がかかる」「今は動けない」と後回しになっているケースは多い。

この記事では、中小企業がオフィスコストを見直す際の手順を整理する。大がかりな移転が必要なケースと、レイアウト変更だけで十分なケースの判断基準も含めて解説する。

オフィスコストの内訳を把握する

オフィス関連のコストは、大きく4つに分かれる。

種類 内容 見直しの難しさ
賃料・共益費 毎月の家賃と管理費 中(契約更新時が動きやすい)
光熱費 電気・ガス・水道 低(今すぐ手をつけられる)
通信費 固定電話・インターネット回線 低〜中
什器・設備費 デスク・椅子・複合機・空調リースなど 中(リース契約に依存)

この中で金額が最も大きいのは賃料だ。東京都心のオフィス賃料は2026年時点で平均約22,000円/坪(三鬼商事データ)まで上昇している。50坪のオフィスなら月110万円、40坪に縮小できれば月約22万円の削減になる。

ただし、賃料の削減は「契約変更」か「移転」が伴うため、今すぐ動けるものではない。まず光熱費・通信費から手をつけて、賃料の見直しはタイミングを見て進めるのが現実的な順番だ。

今すぐできること:光熱費・通信費の見直し

光熱費の削減

照明のLED化

蛍光灯をLEDに切り替えると、消費電力を約50%削減できる。導入コストは1灯あたり数千円程度だが、毎月の電気代と合わせて考えると1〜2年で回収できるケースが多い。

電力会社の切り替え

2016年の電力自由化以降、小売電気事業者を自由に選べるようになっている。現在も大手電力会社と同じ契約を続けている場合、現在の料金体系が自社の使用パターンに合っていない可能性がある。一括比較サービスに問い合わせるだけで、年間数万円単位の削減になることがある。

空調の運用を変える

夏の冷房設定を1℃上げるだけで約10%の消費電力削減と言われる。加えて、誰もいない部屋・使っていない時間帯の空調を切る運用ルールを作るだけで、月々の電気代が変わってくる。

ペーパーレス化

紙の使用量を減らすと、印刷・コピー費用だけでなく、複合機のリース・保守費用も見直せる。複合機のリース料金は月2〜5万円が相場で、使用頻度が低い場合は小型プリンタへの切り替えや台数削減の選択肢もある。

通信費の削減

固定電話の見直し

固定電話回線(アナログ回線)をIP電話に切り替えると、月額基本料金が1,500〜2,000円から500円程度まで下がる。回線本数が多い会社ほど、削減効果が大きい。

インターネット回線の見直し

法人向けの光回線は、契約から数年経過していると現在の市場価格より割高になっていることがある。同等のスペックでより安いプランへの切り替えを検討する価値がある。セット割引の活用も確認しておきたい。

スマートフォンの法人プラン

社員に会社名義のスマートフォンを支給している場合、プランの見直しで削減できるケースが多い。特に通話量・データ量が実態より過剰なプランを契約しているケースは珍しくない。

スペースを減らす:レイアウト変更か移転か

賃料コストを下げるには、使っているオフィス面積を減らすか、賃料単価の低い場所に移転するかの2択になる。

まず「空きスペース」を確認する

最初にやることは、現在のオフィスで使われていないスペースを把握することだ。

  • 毎日の出社率と席の稼働率を比べる(在宅勤務導入後に乖離が生じやすい)
  • 使われていない会議室・打ち合わせスペースはないか
  • 荷物置き場・書類庫になっているエリアはないか

出社率が60〜70%に落ちているにもかかわらず、全員分の固定席がある状態は、スペースが余剰になっているサインだ。

フリーアドレス化で席数を減らす

全員分の固定席をなくし、出社者がその日使いたい席に座るフリーアドレスを導入すると、必要な座席数が実質的に減る。出社率が70%であれば、社員数×0.7〜0.8の席数で運用できることが多い。

20人規模の会社で5〜6席分のスペースが不要になれば、同じ建物内で小さいフロアへの移動や、一部エリアの返却(区画賃貸の場合)が可能になるケースもある。

フリーアドレス化は費用がほとんどかからない一方で、誰がどこで何をしているか把握しにくくなるという問題が生じる。チームの連携を維持するには、Slackやチームスなどのコミュニケーションツールを併用することが前提になる。

書類の電子化でスペースを空ける

書類・ファイルキャビネットが占めるスペースは意外と大きい。請求書・契約書・各種書類を電子化するだけで、書類棚が数本単位で不要になるケースがある。

詳しい進め方は「請求書の電子化を中小企業で進める方法」と「中小企業のペーパーレス化|低コストで始める具体的な手順」でそれぞれまとめている。

移転を検討すべき状況

レイアウト変更だけでは対応しきれない場合、移転が選択肢になる。

移転が合理的なケース

1. 賃料が市場価格より大幅に高い

長期間同じ物件に入居しており、周辺の相場より賃料が高くなっている場合。特に、バブル期・コロナ前の好況期に契約した物件は要確認だ。

2. 出社率が下がりオフィス面積が過剰

テレワーク定着後に出社率が50%を下回っているにもかかわらず、全員分のスペースを維持している状態。レイアウト変更で対応できる限界を超えている。

3. 業務内容とオフィスのスペックが合わなくなった

来客が激減し、広い応接スペースが不要になった。製品在庫の保管が不要になった。逆にサーバー室が必要になったなど、用途が変わった場合。

移転の前に確認すること

現在の契約内容を確認する

解約予告期間(6ヶ月前が多い)、原状回復費用の範囲、違約金の有無を確認する。特に原状回復費は物件によって大きく異なり、移転コストの試算に必須の情報だ。

移転コストを正確に試算する

引越し費用・内装工事・デポジット(保証金)・新旧のオーバーラップ期間の二重賃料——これらを合計すると、中小企業でも数百万円の初期費用になることが多い。削減できる賃料との比較で、何ヶ月で回収できるかを計算してから判断する。

移転を急がず、契約更新タイミングを狙う

通常、移転コストがかかるのは「途中解約」の場合だ。契約更新のタイミング(2〜3年ごと)に合わせて移転を検討すれば、違約金を回避できることが多い。

コンパクトなオフィスを維持するための選択肢

移転後に月々の費用を抑えるには、シェアオフィスや月額制のコワーキングスペースを部分的に活用する方法もある。

形態 向いているケース 月額費用の目安
専用オフィス(縮小) 機密情報を扱う、社員数が多い 通常賃貸(縮小後)
シェアオフィス 少人数で来客が少ない 数万円〜
バーチャルオフィス 住所だけ必要、リモート中心 月数千円〜
コワーキング(一部利用) 拠点外の作業スペースとして ドロップイン制など

完全にリモートワークが可能な業種であれば、バーチャルオフィス(住所・電話番号のみ)への切り替えで、賃料コストをほぼゼロにする選択肢もある。ただし、来客対応が必要な業種や、実際の作業スペースが欠かせない業務には適さない。

優先順位のまとめ

オフィスコスト削減の優先順位を整理すると、次の順番になる。

  • 今すぐ:光熱費・通信費の見直し(LED化、電力会社切り替え、固定電話→IP電話)
  • 1〜3ヶ月以内:スペースの棚卸し(空席率・書類スペースの確認)
  • 3〜6ヶ月:フリーアドレス化・書類電子化でスペース削減
  • 契約更新タイミングで:移転または縮小交渉

賃料の削減が最もインパクトが大きいが、動き出しに時間がかかる。だからこそ、今すぐできる光熱費・通信費の見直しから始めて、並行して移転の検討を進める、という順番が現実的だ。

固定費全体をまとめて見直したい場合は「中小企業のコスト削減|人を減らさずに固定費を下げる方法」も参考にしてほしい。

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