「ホームページを作ったのに、一向に問い合わせが来ない」
中小企業の経営者から、こういう話を聞くことは珍しくない。費用をかけて外注したにもかかわらず、公開後に誰も見ていない、更新もできない、集客にも使えていない。制作会社は「完成しました」と言って終わりで、あとのフォローがない。
ホームページの外注費用を調べると、費用の早見表ばかりが出てくる。もちろん費用の目安は重要だが、それよりも先に確認すべきことがある。
この記事では、費用相場を整理したうえで、「作って終わり」にならないための実務的なポイントを解説する。
ホームページ外注の費用相場(依頼先別)
まず前提として、ホームページ制作の費用は依頼先によって大きく異なる。「制作費○万円〜」という表記は多いが、依頼先の種類を無視して比較しても意味がない。
依頼先別の費用目安
| 依頼先 | 初期制作費の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| フリーランス | 10万〜30万円 | 1人対応。価格は安いが担当者依存 |
| 中小制作会社 | 30万〜100万円 | チーム対応。コストと品質のバランスが取りやすい |
| 大手制作会社 | 100万円〜 | 大規模案件向け。中小企業には過剰なことが多い |
| ノーコードサービス(Wix等) | 月額数千円〜 | 自社で作るツール。デザインの自由度は低い |
10ページ前後のコーポレートサイトを想定すると、フリーランスで15〜25万円、中小制作会社で40〜80万円というのが現実的な相場だ。
大手制作会社は中小企業の依頼を受けないケースも多いし、受けたとしても100万円以上の費用を請求することが多い。従業員50人未満の中小企業なら、中小制作会社かフリーランスへの発注が現実的な選択肢になる。
費用に影響する3つの要素
同じ「ホームページ制作」でも、以下の要素によって金額は大きく変わる。
1. ページ数
5ページと20ページでは制作費が倍以上になることも珍しくない。まずは「最低限必要なページ」を明確にしてから見積もりを取る。
最低限必要なページの例:
- トップページ
- 会社概要
- サービス紹介(1〜2ページ)
- 問い合わせフォーム
最初から「将来的に追加するかもしれないページ」を全部入れると費用が跳ね上がる。最初は小さく作り、必要に応じて追加するほうがコストを抑えやすい。
2. デザインのオーダー度
「テンプレートを使ったデザイン」と「一からデザインするフルオーダー」では制作費が2〜3倍変わる。
中小企業の場合、フルオーダーのデザインにこだわる必要があるケースは少ない。業種ごとに近いテンプレートを使いながらカスタマイズする方法でも、十分な品質のサイトを作れる。
3. 機能の有無
以下の機能が必要かどうかで費用が変わる。
- 問い合わせフォーム(基本的にどこでも対応)
- 予約システム(オプション費が発生することが多い)
- ブログ・更新機能(CMSの設定が必要)
- 会員機能・ログイン(システム開発の領域に近づく)
会員機能やECカートのような機能は、ホームページ制作ではなくシステム開発の領域になるため、費用が大幅に上がる。
見落としがちな「初期費用以外のコスト」
ホームページの費用を考えるとき、初期制作費だけを比較している会社が多い。しかし実際には、公開後も継続的なコストが発生する。
ドメイン・サーバー料
ホームページを公開するにはドメイン(URLの住所)とサーバー(データの置き場所)が必要だ。
| 項目 | 年額目安 |
|---|---|
| ドメイン取得・更新 | 1,500〜6,000円/年 |
| レンタルサーバー | 6,000〜30,000円/年 |
制作会社が「込み込みで月1万円」という提案をしてくることもあるが、その場合は契約期間や解約時のデータ移行条件を確認しておく必要がある。制作会社のサーバーにデータが乗っている状態で関係が終わると、サイトごと消える可能性がある。
保守・月額管理費
公開後のサポートとして、月額の保守費を請求する制作会社がある。サービス内容の目安は以下のとおりだ。
| 月額目安 | 主なサービス内容 |
|---|---|
| 1〜2万円 | セキュリティ対応、バックアップ、軽微な更新対応 |
| 3〜5万円 | 上記に加えて、定期的なコンテンツ更新や問い合わせ対応 |
保守契約は必須ではないが、WordPressを使っている場合はセキュリティの定期更新が必要になる。自社で対応できるなら保守費を払う必要はないが、「誰が管理するか」を決めていないと、気づいたらサイトが古いプラグインのまま放置されることになる。
SEO対策・コンテンツ費用
制作会社が提示する費用には、SEO対策が含まれていないことが多い。「SEO対策込み」という表現も、技術的な設定(メタタグの設定など)を指すだけで、検索流入を取るための記事コンテンツ制作は別途費用になるケースがほとんどだ。
ホームページを集客に使いたいなら、制作後のコンテンツ運用まで含めた予算を考えておく必要がある。
「作って終わり」を避けるための3つの確認
費用と同じくらい重要なのが、公開後に使えるサイトにするための設計だ。制作会社に発注する前に、以下を確認しておく。
1. 自社でコンテンツを更新できるか
ホームページに掲載している情報は、時間が経つと古くなる。「採用情報」「お知らせ」「スタッフ紹介」といったページを更新するたびに制作会社に依頼していると、その都度費用が発生する。
回避策はシンプルで、CMSを使って構築してもらうことだ。CMS(コンテンツマネジメントシステム)とは、WordPressに代表される、管理画面から文章や画像をノーコードで編集できる仕組みのことだ。
制作会社に対して「WordPressで構築する前提でお願いしたい」と伝えるだけで、公開後の更新を自社で完結できるようになる。
一方で、「更新が発生しないサイト」なら静的なHTMLサイトでも問題はない。「会社の信頼性を示す名刺代わりのサイト」として使い続けるだけなら、CMSが必須というわけでもない。
2. SEOを意識した構造になっているか
デザインが綺麗でも、検索エンジンが正しく認識できない構造では、検索からの流入が取れない。
最低限確認すべきポイントを、発注前の打ち合わせで聞いておくとよい。
- ページタイトルとメタディスクリプションを設定できるか
- モバイル対応(スマートフォンでの表示)は標準で対応しているか
- サイトの読み込み速度を意識した構築になっているか
「SEO対策はオプションです」という制作会社は多い。ただし、上記の技術的な基礎設定は追加費用なしで対応できる会社を選ぶのが妥当だ。
3. 公開後の相談窓口があるか
制作が完了した後、「ページを1つ追加したい」「フォームの宛先を変えたい」といった軽微な修正が必ず発生する。そのときに連絡が取れる体制があるかを事前に確認しておく。
フリーランスに依頼した場合の注意点として、担当者の廃業や転職によって連絡が取れなくなるリスクがある。ドメインやサーバーの管理情報を自社で把握しておくこと、WordPressであればログイン情報を自社で保持しておくことが最低限の対策になる。
中小企業のバックオフィスやIT全般の外注先をまとめて相談したい場合は、当社でも相談を受け付けている。
依頼先の選び方(何を優先するか)
費用と確認ポイントを踏まえたうえで、依頼先の選び方を整理する。
フリーランスに向いているケース
- 予算が20万円以下
- デザインよりも「とにかく公開する」ことを優先したい
- 知人や紹介で信頼できる人を探せている
フリーランスに依頼する場合は、「個人事業主として活動している実績が何年あるか」を確認することを勧める。開業したばかりのフリーランスは料金が安い代わりに、経験不足によるトラブルや連絡が取れなくなるリスクがある。
中小制作会社に向いているケース
- 予算が30万〜100万円程度
- 公開後も継続的なサポートが欲しい
- SEOや集客まで相談したい
中小制作会社を選ぶ場合の注意点は、「実績が自社の業種や規模と近いか」を確認することだ。飲食店のサイトを多く作っている会社に、IT企業のBtoBサイトを依頼すると、テイストが合わないことがある。
また、見積もりが他社と比べて極端に安い会社は、テンプレートをそのまま使っているだけのケースが多い。初期費用が安くても、修正のたびに都度費用が発生する運用になっていることがある。
まとめ:費用は「総コスト」で考える
ホームページの外注費用を比較するときは、初期制作費だけを見るのではなく、以下を含めたトータルコストで判断することを勧める。
- 初期制作費
- ドメイン・サーバー料(年間)
- 保守・管理費(月額)
- 更新・修正費(発生頻度と単価)
加えて、「作った後に自分たちで運用できるか」「SEO設計が含まれているか」「公開後に相談できる体制があるか」の3点を依頼前に確認しておくだけで、よくある失敗の大半は避けられる。
ホームページをどう活用するかは、業種や会社のフェーズによって異なる。「何のために作るか」を先に決めてから外注先を選ぶことが、最終的に費用対効果の高い選択につながる。
ホームページ制作の外注先選びや、制作後の集客設計について相談したい場合は、以下からお問い合わせください。制作会社との間に入って要件定義を支援することも可能です。