事務・バックオフィス効率化

勤怠と給与計算を連携して自動化する方法|中小企業が手入力をなくす仕組み

毎月の給与計算、こんな手順になっていませんか

月末になると、こういう作業が始まる会社は多い。

  • タイムカードや打刻アプリから出勤データを取り出す
  • Excelに転記して、残業時間・遅刻・有給取得を手計算する
  • 計算結果を給与ソフトに手入力する
  • 間違いがないか確認して、修正があればやり直す

従業員が10人いれば、この作業だけで毎月3〜5時間かかることはめずらしくない。担当者が1人しかいない会社では、月末の数日間はその人の業務がほぼ給与計算で埋まってしまう。

問題は時間だけではない。手作業が介在すると、入力ミスが起きる。残業時間を1桁間違える、有給の消化日数を反映し忘れる、深夜割増の計算式がずれる。こうしたミスは給与明細を配布した後に発覚することが多く、修正対応が発生する。従業員からの問い合わせ対応も含めると、修正にかかる時間はミス1件あたり30分〜1時間になることもある。

さらに問題なのが、この業務が属人化しやすいことだ。「Excelの計算式がどう組まれているか、総務の○○さんしかわからない」という状態は、中小企業でよく起きる。その担当者が急に辞めたとき、給与計算が止まるリスクがある。

これらの問題は、勤怠管理と給与計算を連携させることで解消できる。

連携とは何か|「CSV連携」と「自動連携」の違いを理解する

「勤怠と給与を連携させる」と一口に言っても、2種類の連携方法がある。それぞれの違いを理解しておかないと、「連携できると思って導入したのに、結局手作業が残った」という結果になりかねない。

CSV連携(半自動)

勤怠管理システムから勤怠データをCSVファイルとしてエクスポートし、そのファイルを給与計算ソフトにインポートする方法だ。

手入力での転記はなくなるが、「エクスポートする」「ファイルを変換する」「インポートする」という操作は人が行う必要がある。月1回の作業は残るが、転記ミスはほぼゼロになる。

今使っているシステムをそのまま生かしたい場合や、費用を最小限にしたい場合はこの方法が現実的な選択肢になる。

自動連携(全自動)

勤怠管理システムと給与計算システムがAPIで直接つながっており、勤怠データが自動で給与計算側に反映される方法だ。担当者がボタンを押す操作すら不要で、給与計算の担当者は「確認して承認する」だけになる。

同じ会社が提供している一体型のシステム(ジョブカンシリーズ、freee人事労務、マネーフォワードクラウドなど)では、この自動連携が標準で使えることが多い。

どちらを選ぶか

CSV連携 自動連携
手間 月1回の操作が残る ほぼゼロ
ミスのリスク 転記ミスはなくなる ほぼゼロ
費用 既存システムを継続できる 新規導入コストあり
向いている会社 今の給与ソフトを継続したい 一から仕組みを整えたい

すでに会計事務所から指定されている給与ソフトがある場合は、まずその給与ソフトと連携できる勤怠管理システムを探すのが現実的だ。どのシステムも縛りがない場合は、一体型システムで自動連携を実現するほうが長期的に管理が楽になる。

連携で何がどう変わるか|ビフォーアフター

実際に連携を導入した後、給与計算の流れはどう変わるかを整理する。

ビフォー(手作業の場合)

  • 月末:タイムカードや打刻データを集める(30分)
  • 残業・遅刻・有給をExcelで集計・計算(1〜2時間)
  • 給与ソフトに手入力(1〜2時間)
  • 確認・ミス修正(30分〜)
  • 合計:毎月3〜5時間

アフター(自動連携の場合)

  • 月末:勤怠データが自動で給与計算システムに反映されている
  • 担当者は数字を確認して、問題なければ承認ボタンを押す(30分〜1時間)
  • 合計:毎月1時間未満

削減できる工数は毎月2〜4時間。担当者の負担が減るだけでなく、ミスによる修正対応がなくなることで、従業員からの問い合わせも減る。

中小企業が連携ツールを選ぶ3つの基準

ツール選びで迷った時に確認すべき基準を3つに絞る。

1. 今使っている給与ソフトと連携できるか

まず確認すべきはここだ。弥生給与、freee会計、マネーフォワードクラウド会計など、すでに使っている給与ソフトや会計ソフトがある場合、そのソフトと連携できる勤怠管理システムを選ぶのが導入コストを最小化できる。

特に会計事務所や税理士から特定のソフトを指定されているケースでは、その前提を崩さずに連携できるか確認してから検討を進めるのが現実的だ。

2. 従業員数に合った費用か

主要ツールの費用感はそれぞれ異なる。

  • ジョブカン給与計算:1人あたり月額400円(最低2,000円/月)。勤怠管理(最低200円〜/月)を合わせると1人あたり月額600円以上が目安
  • マネーフォワードクラウド勤怠:ビジネスプラン月額6,480円(5人まで)、6人目以降は1人あたり月額300円
  • freee人事労務:プランと従業員数によって大きく変わるため、公式サイトで試算するとよい

従業員20人であれば、マネーフォワードは月額約11,000円、ジョブカン(勤怠+給与セット)は月額12,000円程度が目安になる。これを高いと見るか安いと見るかは、手作業にかかっている工数と比較して判断することになる。

3. 設定・運用を自社でできるか

IT担当者がいない中小企業では、初期設定の難易度とサポート体制が重要だ。就業ルール(シフト制、フレックス、深夜割増など)をシステムに登録する作業は、設定項目が多くなることがある。

導入時にサポートがある、チャットや電話で問い合わせできる、といったサポート体制を確認してから選ぶとよい。

中小企業で使いやすい連携パターン3選

パターン1: ジョブカン勤怠管理 × ジョブカン給与計算

同じシリーズなので、勤怠データが自動で給与計算に連携される。打刻アプリ・ICカード・GPS打刻など複数の打刻方法に対応しており、従業員の働き方がバラバラな会社にも対応しやすいのが特徴だ。

  • 費用:勤怠管理1人200円〜/月 + 給与計算1人400円/月(最低利用料金あり)
  • 向いている会社:シフト制、残業管理が複雑な会社

パターン2: freee人事労務(勤怠・給与・社会保険が一体型)

勤怠管理から給与計算、社会保険の手続きまで1つのシステムで完結する。会計にfreeeを使っている会社であれば、給与データを会計側に自動連携することも可能だ。

  • 費用:プランと従業員数によって大きく変わるため、公式サイトで確認するとよい
  • 向いている会社:freeeで会計を管理している会社、社会保険の手続きも一元管理したい会社

パターン3: マネーフォワードクラウド勤怠 × マネーフォワードクラウド給与

シリーズで統一することで、勤怠→給与→会計の流れを自動連携できる。マネーフォワードで会計・経費管理をしている会社であれば、データが一元管理できる。

  • 費用:ビジネスプラン月額6,480円(5人まで)、以降1人あたり月額300円
  • 向いている会社:マネーフォワードクラウドで会計・経費管理をしている会社

連携を導入しても使いこなせない会社の共通パターン

ツールを導入しても「結局うまく使えなかった」という会社には、共通する原因がある。

就業ルールをシステムに設定していない

残業の計算方法、有給の付与ルール、深夜・休日割増の設定など、会社固有の就業ルールをシステムに登録しないまま使い始めると、給与計算結果が実態と合わない。導入時に就業規則の内容をシステムに落とし込む作業が必要だ。

よくあるのが、「とりあえず動かしてみる」と最初の月の給与計算で金額が合わないケースだ。固定残業代制の計算や段階的な割増率など、会社ごとのルールが複雑なほど設定漏れが起きやすい。最初のセットアップに1〜2日かけてでも、就業規則の内容を全てシステムに反映させてから運用を始めることが重要だ。

勤怠の承認フローが決まっていない

従業員が打刻した後、誰がいつ承認するか、修正申請はどう処理するかのルールがないと、月末に未承認データが残り、給与計算が進まなくなる。

よく起きるのが、「月末に確認したら全員の申請が未承認のまま残っていた」というパターンだ。承認する人が明確でなかったり、打刻修正の申請が来ても誰も処理しないまま放置されたりする。こうなると担当者が月末にまとめて全員分を処理することになり、手作業より時間がかかることもある。「申請→上長確認→確定」の流れを先に決めてから運用を始めることが重要だ。

担当者が変わった時の引き継ぎができていない

ツールを使いこなせている人が1人しかいない状態は、手作業時代の属人化と変わらない。最低限の操作手順をメモとして残しておくだけで、引き継ぎの難易度は大きく変わる。属人化をなくす仕組み化については経理の属人化を30日で解消する方法|チェックリスト付きが参考になる。

まとめ:まず今の給与ソフトを確認することから始める

勤怠管理と給与計算の連携でやることは、シンプルだ。

  • 今使っている給与ソフトを確認する
  • その給与ソフトと連携できる勤怠管理システムを探す(公式サイトの「連携サービス」ページで確認できる)
  • 従業員数で費用を試算する
  • 無料トライアルで実際の設定を確認する

給与ソフトの縛りがない場合は、freee人事労務やマネーフォワードクラウドのような一体型から検討するほうが、導入後のトラブルが少なくてすむ。

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