毎月末、総務の担当者がエクセルとにらめっこして残業している。タイムカードを手集計して給与計算ソフトに転記する作業が月に何時間もかかっている。
こういう状況は、クラウド型の勤怠管理サービスに切り替えることで大きく改善できる。ただ、選択肢が多すぎて「どれを選べばいいか分からない」という声もよく聞く。
この記事では、従業員5〜50人規模の中小企業が実際に検討すべきクラウド勤怠管理サービスを5つに絞り、料金・機能・連携の観点から整理する。
そもそもクラウド勤怠管理は必要か
ツールの比較の前に、切り替えが本当に必要かを確認する。
今のやり方で問題が出ているなら切り替えを検討する
次のどれか1つでも当てはまるなら、クラウド型への移行を真剣に考えてよい。
- 月末の勤怠集計に担当者が2〜3時間以上かかっている
- タイムカードの集計ミスが月に1件以上発生している
- 残業時間の把握が翌月にならないとできない
- 36協定の管理が経営者の肌感覚に頼っている
- テレワーク・直行直帰の社員の打刻管理ができていない
従業員10人以下で問題なく回っているなら急がなくてよい
一方で、エクセル管理でも集計が10分以内に終わり、ミスもほぼ出ていないなら、わざわざ移行コストをかける必要はない。ツールを導入すること自体が目的にならないよう注意する。
「いずれ必要になりそう」という感覚があるなら、無料プランで小さく試してから判断するのが現実的だ。
クラウド勤怠管理サービスを選ぶ4つの基準
1. 給与計算ソフトとの連携
最も重要なポイント。勤怠データを給与計算ソフトに自動連携できると、毎月の転記作業がなくなる。
- freeeを使っている → freee人事労務との連携が最もスムーズ
- マネーフォワードを使っている → マネーフォワードクラウドのバックオフィスプランが連携しやすい
- 弥生給与・PCA給与など → KING OF TIMEやジョブカンがCSV連携に対応
2. 打刻方法の柔軟性
全員がオフィスで働いている会社なら、ICカードやPCブラウザ打刻で十分。以下のケースでは対応確認が必要だ。
- テレワーク・直行直帰がある → スマホGPS打刻対応か
- 工場・現場仕事がある → タブレット共有打刻やIC打刻が必要か
- 複数拠点がある → 拠点ごとの管理設定ができるか
3. 変形労働・フレックスへの対応
シフト制・変形労働時間制・フレックス制を採用している会社は、その勤務形態に対応しているかを必ず確認する。対応していないサービスを導入すると、自社の実態に合わない設定を無理やり使うことになる。
4. 料金体系(月額・初期費用)
クラウド型の料金相場は、従業員1人あたり月額200〜500円程度。ただし「基本料金 + 従量課金」の2段構えになっているサービスもあり、人数が少ないと割高に感じることがある。
初期費用は多くのサービスが無料か数万円以内。導入前に試せる無料トライアル(30日間程度)が用意されていることがほとんどだ。
中小企業向けクラウド勤怠管理サービス5選
比較一覧
| サービス名 | 料金目安 | 無料プラン | 給与連携 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| KING OF TIME | 300円/人/月 | なし(無料試用30日) | 主要ソフト対応 | 国内最大シェア・打刻方法が豊富 |
| ジョブカン勤怠管理 | 無料〜500円/人/月 | あり(30名まで) | 主要ソフト対応 | 無料プランが使いやすい |
| マネーフォワードクラウド勤怠 | 月6,480円〜 | なし(無料試用30日) | MFクラウド給与と自動連携 | バックオフィス統合管理 |
| freee人事労務 | 月2,980円〜 | なし(無料試用30日) | freee会計と完全連携 | freeeユーザーに最適 |
| CLOUZA | 100〜200円/人/月程度 | なし(無料試用30日) | CSV連携 | シンプルさと低コスト重視 |
KING OF TIME(キングオブタイム)
料金: 月額300円/人(初期費用無料)
導入実績: 67,000社以上、390万アカウント以上
国内の勤怠管理システムで最もシェアが高いサービス。1人あたり月額300円の一律料金で、ICカード・スマホGPS・顔認証・Webブラウザなど多様な打刻方法に対応している。
変形労働時間制・フレックスタイム制・シフト管理など複雑な勤務形態にも対応しており、業種や就業形態を問わず使いやすい。弥生・PCA・マネーフォワード・freeeなど主要な給与計算ソフトとのCSVデータ連携にも対応している。
こんな会社に向いている:
- 従業員が多様な働き方をしている(テレワーク・シフト制・変形労働など)
- 打刻方法を現場の状況に合わせて選びたい
- すでに給与計算ソフトがあり、勤怠管理だけを入れ替えたい
ジョブカン勤怠管理
料金: 無料(基本機能・30名まで)、有料は200円〜500円/人/月
導入実績: シリーズ累計30万社以上
無料プランが充実しているのが最大の特徴。30名以下の会社なら、基本的な出退勤管理・集計・残業アラートが無料で使える。有料プランでは打刻オプションの追加や高度な勤怠ルール設定が可能になる。
ジョブカンは勤怠管理以外にも、給与計算・労務管理・経費精算・採用管理と横展開できるシリーズになっている。バックオフィス全体を統一したいならシリーズまとめ導入の選択肢もある。
こんな会社に向いている:
- まずは無料で試してから判断したい
- 従業員30人以下で、コストを最小限に抑えたい
- 将来的に給与や労務もジョブカンで統一したい
マネーフォワードクラウド勤怠
料金: バックオフィスプランに含まれる形で月6,480円〜(年払い、従業員5人の場合)
導入実績: マネーフォワードクラウドシリーズ全体で数十万社以上
マネーフォワードクラウドの会計・給与・経費精算・請求書などと同一プラットフォームで使える。バックオフィス系の複数ツールをまとめて管理したい場合、都度ツールを連携させる手間がなくデータが自動で流れる。
勤怠データが給与計算に自動反映されるため、毎月の転記作業がほぼゼロになる。すでにマネーフォワードクラウドの他サービスを使っている会社は、追加費用を抑えながら勤怠管理も一本化できる。
こんな会社に向いている:
- マネーフォワードクラウド会計・給与をすでに使っている
- バックオフィス全体をマネーフォワードで統一したい
- 勤怠→給与計算の自動化に最も重きを置いている
freee人事労務
料金: スモールビジネスプラン月額2,980円〜(年払い)
導入実績: freeeシリーズ全体で多数の中小企業・個人事業主が利用
freee会計を使っている会社にとって、最も連携がスムーズな選択肢。勤怠管理・給与計算・社会保険手続きを一つのプラットフォームで管理でき、freee会計との連携により月次の経理処理まで一気通貫でできる。
スモールビジネスプランは50名以下の法人向けで、基本機能を比較的低コストで使えるが、従業員数が増えると従量課金が加算される。
こんな会社に向いている:
- freee会計・freee申告をすでに使っている
- 勤怠・給与・社会保険をまとめて管理したい
- 経理担当と労務担当が兼務で、入力作業を減らしたい
CLOUZA(クラウザ)
料金: 月額100〜200円/人程度(公式サイトで最新料金を確認のこと)
導入実績: 非公開
コストを徹底的に抑えたいシンプル派向けのサービス。ICカード打刻・スマホ打刻・GPS打刻に対応しており、基本的な出退勤の管理と集計ができる。大手サービスのような複雑な機能は少ないが、「とにかく安く始めたい」「集計の自動化だけできればいい」という会社には選択肢になる。
給与計算との連携はCSV出力による手動連携が中心なので、自動連携を重視するなら他のサービスを検討する。
こんな会社に向いている:
- 月額コストを最小限に抑えたい
- 基本的な打刻・集計ができれば十分
- 複雑な勤務形態がなく、シンプルな運用で回せる
状況別のおすすめ
今すぐ無料で始めたい → ジョブカン勤怠管理(無料プラン)
30名以下なら基本機能が無料で使える。まずここで試して、使えると確認できたら有料移行や他サービスへの乗り換えを検討するのが現実的。
freee会計を使っている → freee人事労務
同じプラットフォームで完結する。別サービスを連携させる手間がなく、データの整合性が取れている状態を維持しやすい。
マネーフォワードを使っている → マネーフォワードクラウド(バックオフィスプラン)
会計・給与・勤怠を統一するなら、同一プラットフォームにまとめるのが運用上シンプル。
給与ソフトはあるが勤怠管理だけを入れ替えたい → KING OF TIME
主要な給与計算ソフトとのCSV連携に広く対応しており、既存ツールを変えずに勤怠管理だけを改善できる。
とにかくコストを抑えたい → CLOUZA または ジョブカン無料プラン
機能要件が基本的なものに限られるなら、CLOUZA(低コストプラン)またはジョブカンの無料プランで対応できる可能性が高い。
導入前に確認しておくこと
どのサービスを選ぶにしても、導入前に以下を確認しておく。
1. 無料トライアルで実際に試す
多くのサービスが30日間の無料トライアルを提供している。実際の従業員に試しに使ってもらい、打刻しやすいか・集計が楽になるかを確認してから本契約する。
2. 給与計算ソフトとの連携方法を確認する
「連携対応」とあっても、「自動連携」なのか「CSV出力→手動インポート」なのかは大きく異なる。担当者が実際に試して確認しておく。
3. 現在の就業規則・勤務形態が設定できるか確認する
変形労働・裁量労働・シフト制などの場合、そのルールがシステムで設定できるかを必ずデモ環境で確認する。設定できなければ、どれだけ使いやすいサービスでも使い物にならない。
まとめ
クラウド型の勤怠管理サービスは、毎月の集計作業を大幅に減らせる。ただし、選択肢が多いだけに「とりあえず知名度が高いから」で選ぶと、自社の給与ソフトと連携できなかったり、勤務形態に対応していなかったりする。
最初に確認すべきポイントは「今使っている給与計算ソフトとの連携方法」と「自社の勤務形態が設定できるか」の2点だ。この2つがクリアになれば、あとはコストと打刻方法で絞り込める。
まず無料トライアルで試してみることを勧める。数週間試せば、現場での使いやすさと集計の手間がどれだけ変わるかが実感できる。
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