シミュレーション

採用業務を効率化したら何が変わるか|Before/Afterで見せる

「採用に時間がかかっている」とは思いつつ、どこをどう変えればいいかが見えないまま、毎回同じ手順で動いている会社は多い。

求人票を一から書き直し、メールで面接日程を何往復もして、Excelで応募者を管理して、気づいたら1件の採用に数十時間使っていた——これは珍しくないパターンだ。

この記事では、従業員15人規模の会社を想定して、採用業務を効率化した場合の前後を具体的に示す。

前提:どんな会社を想定しているか

会社のプロフィール

  • 従業員数:15名(正社員10名、パート5名)
  • 採用担当:総務担当者1名が採用業務を兼務
  • 採用頻度:年間2〜3名(退職補充+増員)
  • 現在の管理方法:応募者はExcelで管理。求人媒体は2〜3社に掲載中
  • 面接:社長 or 部門長が実施。日程調整は総務担当が窓口

この規模の会社では、採用担当を専任で置けず、総務や経営者が兼務しているケースが典型的だ。

Before:効率化前の採用業務の状況

採用活動中の月間作業量

採用活動が動いている期間(月10〜20件の応募がある状態)の業務量の目安を示す。

業務 担当 かかる時間
求人票の作成・媒体への掲載・更新作業 総務担当 月3〜5時間
応募者への受付返信・書類選考 総務担当 月5〜8時間
面接日程の調整(候補日の提示→返信待ち→確定まで往復) 総務担当 月4〜7時間
面接官(社長・部門長)との日程調整 総務担当 月2〜3時間
面接後の合否通知・次選考への案内 総務担当 月2〜3時間
内定者への条件提示・入社書類の準備・案内 総務担当 月2〜3時間
採用状況のExcel管理・社長への進捗報告 総務担当 月3〜4時間
合計 月21〜33時間

これが年間4〜5ヶ月続くと想定すると、年間で80〜165時間が採用業務に費やされる計算になる。

起きている問題

応募者の管理が追いつかない

複数の媒体から応募が来るが、それぞれExcelのファイルが別々になっていたり、メールの受信トレイで追っていたりして、どの応募者がどの選考段階にいるか把握しきれないことがある。選考が重なると、案内を出し忘れたり、対応が遅れたりするリスクがある。

面接日程調整に時間がとられすぎる

「○日または○日はいかがでしょうか」→「どちらも難しくて…」→「では△日はいかがですか」というやり取りが、1人あたり平均5〜7往復になることがある。応募者10人と同時に調整していると、それだけで週に数時間消える。

求人票を毎回ゼロから作り直す

前回の求人票が手元に残っておらず、媒体ごとにフォーマットが違うため、毎回ほぼゼロから書き直している。内容も担当者の記憶をたどって書くため、ブレが出やすい。

採用状況を社長に口頭で説明しなければならない

Excelで管理していても見方がわかりにくく、「今どの人が何人いるの?」という確認が都度発生する。社長が自分で確認できる状態になっていない。

After:効率化後の採用業務の状況

「ATS(採用管理システム)の導入」「面接日程調整ツールの活用」「求人票のテンプレート化」の3点を組み合わせたパターンで試算する。

採用活動中の月間作業量(変化後)

業務 担当 かかる時間
求人票の更新・掲載(テンプレートから修正) 総務担当 月1時間
応募者への自動返信設定・書類選考(ATS上で確認) 総務担当(確認のみ) 月2〜3時間
面接日程調整(調整ツールのURLを送るだけ) 総務担当 月0.5〜1時間
面接官との調整(ATS上で共有) 総務担当 月0.5〜1時間
合否通知(テンプレートから送付) 総務担当 月0.5〜1時間
内定者への書類案内(電子化・テンプレート) 総務担当 月1〜2時間
採用状況の管理(ATS自動集計・ダッシュボード共有) 総務担当(確認のみ) 月0.5時間
合計 月6〜10時間

月の作業量が約1/3〜1/4に減少する。

変化の内訳

応募者管理の混乱がなくなる

ATSは複数媒体からの応募を自動で取り込み、一覧で管理できる。どの応募者がどの選考フェーズにいるかがひと目で確認できるため、対応漏れが起きにくくなる。面接官も同じ画面を見ながら評価を入力できるため、口頭での共有が不要になる。

面接日程調整が往復ゼロになる

日程調整ツール(TimerexやSpirなど)を使えば、担当者の空き時間を応募者に見せて候補日を選んでもらうだけで完結する。「いつが空いていますか」→「どちらも難しくて」というメールの往復が一切なくなる。1人あたりの調整時間が30〜45分から3〜5分になる。

求人票の作成がテンプレート化で大幅に短縮される

一度整えたテンプレートから修正するだけになるため、新しい媒体に掲載する場合もコピーして調整するだけで済む。内容のブレもなくなり、品質が安定する。

経営者が採用状況を自分で確認できるようになる

ATSのダッシュボードで進捗を共有できるため、「今どの人が何人いるか」を総務担当に確認しなくても経営者自身が見られるようになる。定期報告の手間が減り、意思決定のスピードも上がる。

コスト比較:3つの選択肢

採用業務の効率化アプローチは大きく3パターンある。

パターン1:ツール導入のみ

ツール 月額費用
ATS(採用管理システム)無料〜スタンダードプラン 0〜2万円
面接日程調整ツール(TimeRex、Spirなど) 0〜2,000円
合計 月0〜2万2,000円

向いているケース:採用担当者はいるが、事務作業の量を減らしたい場合。無料プランから始めて、応募者が増えてきたら有料プランに切り替えることもできる。

注意点:ツールの初期設定(ATS上に求人情報を登録する、媒体との連携を設定するなど)に最初の数週間かかる。設定を終えるまでは現行フローと並行で動かす必要がある。

パターン2:採用代行(RPO)

内容 費用目安
採用代行(スクリーニング〜面接調整まで) 月10〜30万円
または成功報酬型(1名採用あたり) 5〜15万円/人

向いているケース:採用担当が社内に実質いない、または繁忙期だけ対応できない場合。採用人数が少ない年(年1〜2名)は成功報酬型の方がコストを抑えやすい。

注意点:月額固定の代行は、採用活動が止まっている月もコストが発生する。採用頻度が低い会社には割高になることがある。

パターン3:ツール+部分的な採用代行(推奨)

ATSで応募者管理・面接調整を自動化しつつ、求人票の作成とスクリーニングの一部だけを外注するパターン。

内容 月額費用
ATS(スタンダードプラン) 1〜2万円
日程調整ツール 0〜2,000円
求人票作成・スクリーニング代行(部分外注) 3〜5万円
合計 月4〜7万2,000円

向いているケース:事務作業は自動化しつつ、採用の質(どんな人を通すか)も改善したい場合。ツールだけでは対応できない「書類の目利き」「求人票のコピーライティング」を代行に任せることで、応募の質も変わることがある。

Before/Afterをまとめると

項目 Before After
採用活動中の月間作業時間 21〜33時間 6〜10時間
面接日程調整(1人あたり) 30〜45分(5〜7往復) 3〜5分(URL送付のみ)
応募者管理 媒体別Excel/メールで追跡 ATS上で一元管理
経営者への進捗報告 口頭で都度報告 ダッシュボードで自己確認
求人票作成 毎回ゼロから(3〜5時間) テンプレートから修正(1時間)

月額コストは増えるが、総務担当者の作業時間が月15〜23時間分減る。空いた時間を別の業務に充てられる。採用活動が早く回るようになると、入社までのリードタイムも短縮される。

どこから手をつけるか

全部を一度に変えようとすると動けなくなる。効果が出やすい順番は次のとおりだ。

Step 1:求人票をテンプレート化する

まず既存の求人票を1本整理して「テンプレートとして使える状態」にする。費用はゼロで、次回からの作成時間が半分以下になる。これだけでも効果がある。

Step 2:面接日程調整ツールを導入する

無料で使えるサービスが多い。導入翌日から効果が出る。応募者側も「URLから好きな時間を選ぶだけ」になるため、選考体験の改善にもつながる。

Step 3:ATSを導入して応募者管理を一元化する

無料プランから始められるサービスもある。まず複数媒体の応募を1つの画面で見られる状態にするだけでも、管理の手間と見落としが大幅に減る。

Step 4:採用業務の一部を外注する(必要であれば)

ツールを入れた後に「それでもこの部分は時間がかかる」という箇所が残ったら、そこだけ外注を検討する。最初から全部外注するより、ツールで自動化できる部分を先に整理してから判断する方がコストを抑えやすい。

採用業務全体の改善について相談したい場合は、こちらから問い合わせてほしい。

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まとめ

採用業務を効率化した場合の変化を整理する。

  • 採用活動中の総務担当の月間作業が21〜33時間から6〜10時間に減る
  • 面接日程調整が1人あたり30〜45分から3〜5分になる
  • ATSを導入することで、複数媒体からの応募者を一元管理できる
  • 求人票のテンプレート化だけでも、次回からの作成時間が半分以下になる
  • ツール+部分代行の組み合わせで月4〜7万円程度から始められる

「採用のたびに同じ手間がかかっている」という場合、まず面接日程調整ツールの導入とテンプレート化から始めると、コストゼロで即効性のある改善ができる。

採用を含むバックオフィス全体の費用感を把握したい場合はこちらを参照してほしい。

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