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経理が採用できない中小企業の選択肢|採用コストvs外注コスト比較

経理担当者を募集しても応募がこない。面接まで来ても、給与条件が合わない。従業員30人以下の中小企業では、これが今の経理採用の現実だ。

採用できない間は経営者が経理を兼務するか、社内の別担当に押し付けるか——どちらも限界がある。

この記事では、経理を確保するための4つの選択肢(正社員・パート・派遣・外注)をコストと定着リスクの観点で比較し、自社の規模に合った判断基準を整理する。

なぜ中小企業は経理担当を採用しにくいのか

経理職の採用難には、構造的な理由がある。

求人数に対して求職者が少ない

経理・財務職は専門性が高い割に、実務経験者の流動性が低い。現在の職場で大きな不満がない限り、転職市場に出てこない。「未経験可」にしなければ母数が集まらないが、未経験者を採用すると育成コストが発生する。

大手企業との採り合いになる

簿記2級以上の経験者は、大手企業・上場企業との奪い合いになる。給与水準・福利厚生・安定性の面で中小企業は不利になりやすく、条件が同程度であれば大手が選ばれる。

「一人経理」のポジションが敬遠される

従業員20人以下の会社では、経理担当が社内に1名しかいないことが多い。求職者からは「属人化している」「誰にも相談できない」「退職しにくい」とリスクとみなされる傾向がある。

これらの構造的な不利は、採用活動を工夫しても簡単には解消しない。

4つの選択肢を比較する

経理担当者を確保するための選択肢は大きく4つある。

選択肢 月額コスト目安(従業員10人規模) 即対応 定着リスク
正社員採用 40〜45万円 時間がかかる 退職リスクあり
パート採用 7〜15万円 数週間かかる 比較的高い
派遣スタッフ 25〜35万円 1〜2週間で対応可 スタッフ交代の可能性
外注(経理代行) 3〜6万円 1〜2週間で対応可 ほぼなし

正社員採用

コスト

給与・社会保険・採用費を含めると月40〜45万円が現実的な水準になる。人材紹介を使うと採用時に年収の25〜35%(年収350万円なら約87〜122万円)の紹介手数料が発生する。採用にかかる総コストと運用費用の詳細は経理代行の費用を実例で公開|従業員規模別の月額料金まとめで確認できる。

向いている状況

  • 月の経理業務が100時間以上ある
  • 経理以外の総務・庶務業務も兼務させたい
  • 従業員が30人を超えており、採用できる可能性がある

採用できる状況であれば最も柔軟だが、採用できない状態が続くと時間とコストを浪費するだけになる。

パート採用

コスト

週3日・1日5時間・時給1,200円の場合、月額7.2万円。週20時間未満であれば会社の社会保険負担はなし。求人媒体の掲載費も数万円で済む。

向いている状況

  • 週3〜4日の作業で足りる業務量
  • 経営者が経理の基礎知識を持っており、指示・確認ができる
  • 高度な専門性を必要としない定型作業が中心

課題

パート経理は定着率が低い傾向がある。「一人でやる経理」は孤立しやすく、辞めた際に引き継ぎが残らないケースが多い。採用のたびに一から教育が必要になる。

派遣スタッフ

コスト

経理職の派遣料金は時給2,000〜2,500円程度が相場。週5日・1日8時間で月25〜35万円になる。採用コストは不要だが、月額費用は正社員と大きく変わらない。

向いている状況

  • 即戦力が必要で採用に時間をかけられない
  • 1〜6ヶ月等の短期間だけ人員が必要
  • 採用後に正社員への切り替えを視野に入れている(紹介予定派遣)

課題

派遣会社の都合でスタッフが交代するリスクがある。業務の引き継ぎが難しく、毎回一から説明が必要になる。コストに対して得られる安定性が低い。

外注(経理代行)

コスト

記帳代行・給与計算・月次試算表のセットで月3〜6万円が目安(従業員10〜15人規模)。採用コストはゼロ。業務量が増えれば費用が増える仕組みのため、過剰なコストが発生しない。

向いている状況

  • 月の仕訳件数が200件以下
  • 経理担当者を専任で採用するほどの業務量がない
  • 採用活動に時間とコストをかけたくない
  • 退職リスクを排除したい

課題

毎日の現金管理や、突発的な判断が必要な業務には向かない。社内に業務の流れを把握している人間が必要になる。

採用コストと外注コストを10人規模で比較する

従業員10人規模の会社が2年間でどの選択肢にいくらかかるかを試算する。

選択肢 月額 採用時コスト 2年間合計
正社員採用(定着した場合) 40万円 30〜100万円 990〜1,060万円
正社員採用(1年で退職・再採用) 40万円 30〜100万円 × 2回 1,020〜1,160万円
パート採用 10万円 5万円 245万円
派遣スタッフ 30万円 0円 720万円
外注(経理代行) 5万円 0円 120万円

コストだけでみると、外注が最も安い。採用が1年で退職するリスクを考慮すると、差はさらに開く。

経営者が経理を兼務し続けるコスト

「採用も外注もせず、自分でやる」という選択肢を取っている会社も多い。

しかしこれは、最もコストが高い選択肢の一つだ。

経営者が経理作業に時間を使っている状態は、本来やるべき営業や経営判断の時間を削っていることになる。

外注コストの月3〜6万円で経理を手放せるなら、その時間を売上に直結する業務に使える。金額以上のリターンがある。

経理の外注を検討しているなら、まずは見積もりを取ることから始めてほしい。見積もりは無料で、自社の取引量を伝えるだけで概算が出る。

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「採用できない今」に取るべき手順

採用に何ヶ月も費やして採用できない状態が続くのが最も損失が大きい。採用できない場合の現実的な手順は以下のとおりだ。

Step 1:今の経理業務量を把握する

月に何時間の経理作業が発生しているかを確認する。50時間未満なら外注で対応できる範囲が多い。

Step 2:外注でカバーできる業務を確認する

記帳・給与計算・請求書処理・月次試算表の作成は外注対応が可能だ。資金繰りの判断・銀行との折衝・契約書の承認は引き続き経営者が担う。

Step 3:外注先に見積もりを取る

業務の概要と月の取引件数を伝えれば、1週間以内に見積もりが出る。複数社から取って比較する。

Step 4:採用環境が整ったら切り替えを検討する

業務が安定し、会社の知名度や待遇が上がった段階で採用への切り替えを検討する。外注中も業務フローが文書化されているため、採用後の引き継ぎが楽になる。

まとめ

経理担当者が採用できない状況での選択肢を整理すると、以下のとおりだ。

選択肢 月額コスト 即応性 リスク
正社員採用 40〜45万円 低い 退職・採用難
パート採用 7〜15万円 中程度 定着率が低い
派遣スタッフ 25〜35万円 高い スタッフ交代
外注(経理代行) 3〜6万円 高い ほぼなし

従業員30人以下であれば、コスト・即応性・リスクのすべてで外注が最も合理的な選択になる。

「今は外注で対応し、会社が成長したら採用に切り替える」という順序が、現実的なリスク管理になる。まず外注を試してみて、合わなければ他の選択肢に戻すことも難しくない。

経理代行の費用相場を詳しく知りたい場合はこちら。

経理代行の費用を実例で公開|従業員規模別の月額料金まとめ

記帳を外注するか判断する基準については、こちらを参照してほしい。

記帳代行は自分でやるべき?外注すべき?判断基準チェックリスト

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