事務代行・外注

中小企業が社内研修を外注する方法|費用相場と効果が出る活用法

社員を育てたいが、研修を企画・実施する担当者がいない。そういった中小企業は多い。

従業員が10〜30人規模の会社では、人事・総務を専任で担当している社員が1人いれば十分なほどだ。その担当者が採用・給与計算・総務対応を一手に引き受けている中で、研修の企画まで対応するのは現実的ではない。「外注すれば解決できるのか」「いくらかかるのか」がわからないまま、育成が後回しになっているケースが多い。

この記事では、研修外注の費用相場と、効果を出すための依頼先の選び方を整理する。

外注できる研修の種類

社内研修として外注できるのは、大きく以下のような種類がある。

新入社員研修

4月入社の社員向けに、ビジネスマナー・電話対応・報連相・社会人としての基礎知識を学ぶ研修。自社で一から企画するのが負担な場合に、研修会社に一括で委託するケースが多い。

管理職・リーダー向け研修

チームマネジメント、コミュニケーション、評価制度の運用など。昇格したタイミングで「管理職としての心構え」を伝えたいが、経営者が毎回時間を割けないケースに向いている。

スキル系研修

営業スキル・接客・Excel・ビジネス文書・プレゼンテーションなど、特定のスキルを習得させる研修。分野ごとに専門の講師を外部から招くことが多い。

コンプライアンス・ハラスメント研修

パワーハラスメント防止法の対応義務や、社内ルールの徹底を目的とした研修。年1回実施している会社も多い。「毎年専門家を呼んで対応している」という企業は少なくなく、外注との相性がよい分野だ。

eラーニング・オンライン研修

サブスク型のプラットフォームを活用し、社員が自分のペースで受講する形式。参加者を集める必要がないため、スケジュール調整が難しい小規模な会社でも取り組みやすい。

費用相場

研修の形式によって費用は大きく変わる。

形式 費用の目安
外部講師を呼ぶ集合研修(1日) 20〜50万円
公開セミナー(社員1人参加) 1日あたり18,000〜30,000円
新入社員研修(複数日程) 1人あたり5〜10万円
中堅社員研修 1人あたり10〜30万円
管理職研修 1人あたり20〜50万円
eラーニング(サブスク型) 月額1,000〜5,000円/人
研修の企画・実施を丸投げ 1プログラムあたり20〜30万円

厚生労働省の調査によると、2024年度における従業員1人あたりの研修費用(OFF-JT費用)の平均は年間36,036円だ。これはあくまで平均であり、社員数が少ない会社ほど1人あたりのコストが高くなりやすい。

外部講師を会社に招く形式(インハウス研修)では、講師の交通費・宿泊費はクライアント負担となるため、遠方から呼ぶ場合は追加で数万円かかることがある。費用見積もりの段階で、交通費・宿泊費が含まれているかどうかを必ず確認することを勧める。

外注が向いているケース

すべての研修を外注する必要はない。以下のような状況なら、外注は効果的だ。

研修を企画できる人員がいない

人事担当が1人しかおらず、採用や給与計算をこなしながら研修企画まで対応するのが難しい場合、外注すれば「内容の設計・資料作成・講師手配」をすべて依頼先に任せられる。

社内では教えられない分野を学ばせたい

営業経験者がいないのに営業研修を内製化する、法務の専門家がいないのにコンプライアンス研修を社内でやる、といったケースは質の担保が難しい。専門性が必要な分野は外注が現実的だ。

年1回など頻度が低い研修

毎月実施するなら内製化を検討する価値があるが、年1回のハラスメント研修や新入社員研修は、社内にノウハウを蓄積するより外部に任せたほうが効率的なことが多い。

内製のほうがいいケース

一方で、以下のような場合は外注より内製向きだ。

自社の業務・文化を伝えることが目的の研修

仕事の進め方、社内のルール、経営者の考え方、顧客対応の方針など、「自社固有の文化を伝える」ことが目的の研修は、外部講師には対応できない。この部分は社内でやるしかない。多くの会社でうまく機能しているのは、「共通スキルは外注、自社の文化は内製」のハイブリッド型だ。

受講人数が少なく、外注コストが割に合わない

社員3〜5人に向けた研修で外部講師を呼ぶと、1人あたりのコストが数万〜十数万円になる。そのコストに見合う研修内容かどうかを判断したうえで外注を検討する必要がある。人数が少ない場合は、公開セミナーに参加させるほうがコスパがよいことが多い。

外注先の選び方と注意点

選択肢1:研修専門会社に依頼する

新入社員研修や管理職研修を一式まとめて委託したい場合に向いている。大手から中小企業専門の研修会社まで幅広い。

選び方のポイントは「同規模・同業種の会社への実績があるか」だ。従業員500人規模向けのプログラムをそのまま20人の会社に適用しても、内容が大げさすぎて現場に合わないケースがある。契約前に実績を確認し、自社の規模に合ったカスタマイズができるかを聞いておく。

選択肢2:公開セミナーに参加させる

社員1〜3人を外部セミナーに参加させる形式。スキルアップ系の研修として使いやすく、費用も1回あたり1〜3万円程度と抑えやすい。

管理職候補の社員に、リーダーシップ系のセミナーへ参加させるといった使い方が典型的だ。他社の参加者と交流できる点も、人員が少ない会社では得られない刺激になる。

選択肢3:eラーニングを導入する

月額1,000〜5,000円/人程度のオンライン研修サービスを導入し、社員が業務の合間に受講する形式。コンプライアンス研修・ハラスメント研修・ビジネスマナーなど、コンテンツが豊富なプラットフォームを選べば、年間の研修費用をかなり抑えられる。スケジュール調整が不要で、全員が同じ内容を受講できるのも利点だ。

失敗を防ぐための確認事項

会社の課題と研修内容がずれていないか確認する

「優秀な講師の話を聞いたが、うちの現場には合わなかった」というのは研修外注でよくある失敗だ。依頼前に「何が課題で、研修後に何が変わってほしいか」を整理し、研修会社と事前にすり合わせをする。

効果測定の方法を決めてから依頼する

研修を実施したが、業務に変化があったかどうか分からない、という状態は中小企業でよく起きる。受講後に「何を実践するか」を社員自身に決めさせる、3ヶ月後に振り返りの場を設けるなど、研修後のアクションを依頼前に設計しておく。

人材開発支援助成金で費用を抑える

研修外注の費用は、国の助成金を活用することで一部を補填できる。

厚生労働省の「人材開発支援助成金」は、会社が社員に職業訓練を実施した際に、訓練にかかった経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度だ。申請する訓練の種類や企業規模によって助成率は異なり、中小企業が対象になるコースも複数ある。

申請の流れは以下のとおりだ。

  • 訓練計画書を、研修実施の1ヶ月前までに都道府県労働局に提出する
  • 計画書に沿って研修を実施する
  • 研修終了後2ヶ月以内に支給申請書を提出する
  • 審査を経て助成金が振り込まれる

最も重要な注意点は「先に計画書を提出しなければ対象にならない」点だ。「研修を受けた後で申請しよう」と思っていても、事前の計画書提出がなければ助成対象外になる。外注先を決めたら、研修実施の1ヶ月前には労働局に相談を始めるスケジュールで動く必要がある。

対象条件・助成率は年度によって変わるため、管轄の都道府県労働局または厚生労働省のウェブサイトで最新情報を確認してほしい。

まとめ

中小企業が社内研修を外注する場合の費用相場は、外部講師を呼ぶ集合研修で1日20〜50万円、公開セミナーへの参加で1人あたり18,000〜30,000円が目安だ。

外注が向いているのは「社内に研修を設計・実施できる人員がいない」「専門性が必要な分野」「年1回程度の頻度で実施する研修」のケースだ。一方、「自社固有の文化・やり方を伝える研修」は外注ではカバーできないため、内製と組み合わせるハイブリッド型が現実的だ。

人材開発支援助成金を活用すれば、外注費用の一部を補填できる可能性がある。ただし、事前の計画書提出が必要なため、依頼先を決めたら早めに労働局に確認することを勧める。

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