「電話対応とスケジュール調整だけで、午前中がなくなる」という話を中小企業の経営者からよく聞きます。
かといって秘書を1人雇うほどの業務量はない。派遣を使うには費用が高すぎる。そういった状況で選択肢に入ってくるのが、秘書代行サービスです。
この記事では、秘書代行サービスの費用相場を業務タイプ別に整理し、雇用・派遣との具体的なコスト比較と、依頼先を選ぶ際のポイントを解説します。
秘書代行とは何を代わりにやってくれるサービスか
「秘書代行」という言葉は、サービスによって指す範囲が異なります。まず用語の整理から始めます。
「電話代行」「秘書代行」「オンライン秘書」の違い
| 種類 | 主な業務 | 費用感 |
|---|---|---|
| 電話代行 | 電話の一次受付・取り次ぎのみ | 月1〜3万円 |
| 秘書代行 | 電話応対 + スケジュール管理など | 月3〜10万円 |
| オンライン秘書 | メール・資料作成・リサーチなど幅広い業務 | 月5〜30万円 |
電話代行は着信を受けてメモを転送するだけのシンプルなサービスです。秘書代行はそこに経営者の予定調整や来客対応のアレンジなどが加わります。オンライン秘書はさらに幅広く、メール対応・資料作成・データ入力・SNS運用まで対応するサービスもあります。
依頼できる業務の例
秘書代行・オンライン秘書で対応可能な主な業務は以下のとおりです。
- 電話の一次受付・折り返し連絡
- スケジュール管理・アポイントの調整
- メールの仕分け・返信(定型文ベース)
- 資料作成(議事録・提案書の整形)
- 出張手配・宿泊予約
- データ入力・リスト整理
- 問い合わせフォームへの一次返信
ただし、社内の意思決定が必要な判断や、顧客と深い交渉が必要なやりとりは基本的に外注できません。「定型業務・連絡調整・情報整理」が秘書代行の守備範囲と考えるのが実態に近いです。
中小企業での主な使われ方
中小企業で秘書代行が使われるのは、主に次の2つのパターンです。
パターン1: 経営者の雑務軽減
経営者自身がメール対応・電話応対・スケジュール調整に追われているケース。これらを代行させることで、営業・商品開発・採用など本来やるべき仕事に時間を使えるようになります。
パターン2: 事務担当の退職後の穴埋め
事務担当が1名退職して後任の採用が決まっていない間、臨時で秘書代行を使うケース。採用までのつなぎとして利用し、その後も外注のまま継続するケースもあります。
秘書代行の費用相場(業務タイプ別)
電話代行型:月額1〜3万円
着信を受けてメモを転送するだけのシンプルなサービスです。コール数に応じた従量制が多く、月50コールで1万円前後、月200コールで2〜3万円程度が相場です。
初期費用は5,000〜1万円程度のサービスが多いです。最低契約期間は3〜6ヶ月が一般的です。
オンライン秘書型(時間制):月額5〜15万円
月間の稼働時間を購入するタイプです。月10時間から契約できるサービスが多く、時間単価は3,000〜5,000円程度。月10時間プランで3〜5万円、月30時間プランで9〜15万円前後です。
業務内容はサービスによって異なりますが、メール対応・資料作成・スケジュール調整などを複合的に依頼できます。
総合型(複数業務対応):月額10〜30万円
専任担当者がついて、複数の業務を継続的に担うタイプです。「秘書業務 + 経理補助 + SNS運用」のように業務をまとめて委託できます。
費用は月10〜30万円と幅がありますが、複数業務を依頼する場合はこのタイプの方が割安になるケースもあります。
費用に含まれないもの
どのタイプも、以下は別途費用が発生することが多いです。
- 初期費用(設定・引き継ぎ作業):0〜3万円
- 追加業務(契約範囲外の作業):時間単価で追加請求
- ツール利用料(専用システムを使う場合)
雇用・派遣と比べたコスト比較
「秘書代行の月5〜15万円は高いか安いか」を判断するには、他の選択肢との比較が必要です。
パート採用(事務・秘書)
時給1,100〜1,500円 × 週20〜30時間の場合、月の人件費は9〜18万円程度です。これに社会保険料(会社負担分で給与の約15〜17%)が加わるため、実質的なコストは月10〜21万円前後になります。
さらに、採用コスト(求人掲載費・面接・研修)を平均3〜6ヶ月で回収することを考えると、短期的なコストはさらに上がります。
派遣(一般事務)
フルタイムの場合、時給1,600〜2,200円 × 月160〜170時間 = 月26〜37万円が相場です(2026年の三大都市圏平均は1,714円)。社会保険は派遣会社が負担しますが、その分が時給に上乗せされています。
秘書代行
月5〜15万円。必要な時間数だけ使え、採用コストもゼロです。繁忙期に時間数を増やし、閑散期に減らすといった調整もできます。
比較まとめ
| 選択肢 | 月額コストの目安 | 採用コスト | 柔軟性 |
|---|---|---|---|
| パート採用 | 10〜21万円(社保込み) | あり | 低い |
| 派遣 | 26〜37万円(フルタイム) | なし | やや低い |
| 秘書代行 | 5〜15万円(時間制) | なし | 高い |
月10時間以下の業務であれば、秘書代行の方がコスト面で合理的なケースがほとんどです。月30時間を超えてくると、パートタイム採用との差が縮まります。
どの選択肢が自社に合うか判断したい場合は、こちらからご相談ください。
中小企業が秘書代行を使うべき状況・向かない状況
使うべき状況
経営者が連絡対応・調整業務に追われているとき
電話対応・メール確認・アポイント調整で午前中が終わるような状況は、秘書代行で解消できます。これらは「判断が不要な業務」であることが多く、外注に向いています。
事務担当が退職して後任の目処がないとき
採用活動には3〜6ヶ月かかることも珍しくありません。その間、秘書代行で急場をしのぎながら採用を進めるやり方は現実的です。
繁忙期だけ手を借りたいとき
決算期・繁忙期だけ稼働時間を増やせるサービスを使えば、通年で人を雇う必要がなくなります。
向かない状況
社内の機密情報を多く扱う業務
顧客の個人情報・財務情報など、外部に出せないデータが多い業務は、情報管理の観点からリスクがあります。
社内の文脈・ノウハウが必要な業務
「この顧客とはこういう経緯があって…」という背景知識が必要な対応は、外部の秘書代行には難しいです。毎月引き継ぎコストが発生します。
毎日8時間、通年で必要な業務
フルタイムで通年必要な業務なら、パート採用の方がコストも品質も安定します。秘書代行はあくまで「部分的な補完」が得意です。
秘書代行を選ぶ3つのチェックポイント
1. 対応業務の範囲を確認する
「電話代行」と「オンライン秘書」では対応できる業務が大きく異なります。依頼したい業務のリストを先に作り、それが対応範囲に含まれているかを確認してください。
特に確認すべき点:
- メール対応は含まれるか(文面作成まで対応するか、転送のみか)
- 資料作成・データ入力は含まれるか
- 対応時間は何時〜何時か(営業時間外の電話は対応するか)
2. 専任担当制かチーム制かを確認する
専任担当者がつくサービスは、業務の引き継ぎが不要で対応品質が安定しやすいです。一方、チーム制のサービスは担当者が変わることがあり、毎回状況を説明し直す手間が発生することがあります。
継続的な対応が必要な業務(スケジュール管理・顧客対応)を依頼する場合は、専任担当制を選ぶ方が無難です。
3. 最低利用時間・最低契約期間を確認する
「月10時間から利用できる」「最低3ヶ月から」といった条件はサービスによって異なります。試しに使ってみたい場合は、最低利用時間が少なく、最低契約期間が短いサービスから始める方がリスクを抑えられます。
まとめ:秘書代行は「採用の代替」ではなく「経営者の時間を買うもの」
秘書代行は、フルタイムの事務担当を雇う代わりになるサービスではありません。「採用するほどの業務量はないが、自分でやるには時間がもったいない」という業務を切り出すためのサービスです。
まず自分が週にどの業務に何時間使っているかをリストアップし、そのうち外注できるものを特定してから依頼先を探すと、ミスマッチを防げます。
バックオフィス業務の外注・効率化について相談したい場合は、下記からお気軽にご連絡ください。
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