取引先から注文が入るたびにFAXを取りに行き、内容を確認してエクセルに転記する。処理が終わったら確認の電話を入れる——こういう運用をしている会社は、今も少なくない。
問題は、この流れが崩れた時だ。担当者が休んだり辞めたりした瞬間に、「あの注文どこまで進んでたっけ」という状態になる。取引先が増えてきたタイミングで、同じミスが立て続けに起きる。
この記事では、受発注管理をシステム化する具体的な方法と、中小企業が使えるツールの費用相場を整理する。
FAX・エクセルで受発注を管理している会社の現状
日本の中小企業の約8割が、今もFAXを使って受発注を行っているという複数の業界調査が出ている。エクセルと組み合わせて管理しているケースも多く、「うちはそれで十分」という声もある。
ただし、これが問題になるのは取引量が増えてきた時か、人が変わった時だ。
FAX運用で実際に起きていること
- FAX機まで取りに行く手間がある
- 文字がかすれていて内容が読み取れない
- 「受け取りましたか?」の確認電話が発生する
- テレワークに完全対応できない(FAX機がある場所に出社が必要)
- 処理済みかどうかをファイルの有無で判断するしかない
エクセル管理で実際に起きていること
- 複数人が同時に編集できない(更新が上書きされる)
- 取引量が増えるとファイルが重くなる
- 担当者しかファイルを触れない、属人化が進む
- どの注文がどの状態にあるかを把握するのが困難
- 入力ミスが気づかれないまま出荷につながる
「何年もこれでやってきた」という会社もある。ただ、担当者が変わった時に初めてリスクに気づく。
システム化するとどう変わるか
受発注管理システムを導入すると、以下が変わる。
取引先が直接入力するようになる
電話・FAXで受けていた注文を、取引先がWebフォームやアプリから直接入力する形に変わる。受け取り作業がなくなり、転記も不要になる。
処理状況がリアルタイムで見える
「受注済み」「対応中」「出荷済み」の状態を全員が同時に確認できる。処理もれが防げる。
データが蓄積される
どの取引先からいつどれだけ注文が来ているか、データとして残る。需要予測や在庫管理に活用できる。
テレワークでも対応できる
クラウド型のシステムなら、出社不要で受発注業務をこなせる。
受発注管理システムの種類と費用相場
システムの主な種類
クラウド型SaaS
月額課金で使えるタイプ。初期費用が安く、すぐに使い始められる。中小企業に向いているのはこちら。
オンプレミス型
自社サーバーにインストールする形式。カスタマイズの自由度は高いが、初期費用が高く、保守も自社持ちになる。規模の大きい会社向け。
費用相場
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜30万円 | 100万円〜 |
| 月額費用 | 1,000円〜9万円 | 保守費用5〜10万円/月 |
| 導入期間 | 数日〜1ヶ月 | 3ヶ月〜半年 |
中小企業の場合、クラウド型で月額5,000〜30,000円程度の製品が現実的な選択肢になることが多い。
中小企業向けおすすめツール比較
CO-NECT(コネクト)
こんな会社に合う: 受注側(売り手)の業務効率化が主な目的の会社
受注企業向けには無料プランがあり、月額費用ゼロから使い始められる(機能制限あり)。有料プランは月額1,980円〜と、国内の受発注システムの中で最安水準。発注フォームの作成から、対応状況の共有、納品書・請求書の発行まで一通りカバーしている。
取引先への導入ハードルが低いのも特徴。取引先はアプリのインストール不要でWebブラウザから発注できる。
費用目安: 受注側は無料〜月額1,980円
楽楽B2B
こんな会社に合う: 電話・FAXで受けている注文をWebに切り替えたい会社
買い手企業数が150,000社を超えており、BtoB取引のデジタル化実績が豊富。自社の取引先が楽楽B2Bを使っているケースも多く、相手側に「新しいシステムを覚えさせる」負荷が少ない場合がある。
機能が豊富な分、費用は高め。
費用目安: 月額33,000円〜
TS-BASE受発注
こんな会社に合う: 在庫管理と受発注を一緒に管理したい会社
受発注と在庫管理をセットで扱えるクラウドシステム。「注文が入ったが在庫がなかった」という状況をリアルタイムで防げる。小売・卸売・製造業に実績が多い。
費用目安: 初期費用0円〜、月額費用は問い合わせ(公式サイトより)
Bカート
こんな会社に合う: BtoBのオンラインショップ型で受注を一元管理したい会社
BtoB EC(企業間取引のネットショップ)として、取引先ごとの価格設定や掛け率の管理もできる。単なる受発注だけでなく、取引先向けの「専用ショップ」を持ちたい会社に向いている。
費用目安: 月額29,800円〜
ツール比較まとめ
| ツール名 | 月額費用 | 特徴 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| CO-NECT | 無料〜1,980円 | 低コストで始めやすい | 受注側・小規模取引 |
| 楽楽B2B | 33,000円〜 | 実績豊富 | FAXをWebに切り替えたい |
| TS-BASE | 要問い合わせ | 在庫管理と連携 | 在庫を持つ会社 |
| Bカート | 29,800円〜 | BtoB EC機能 | 取引先ごとに価格が異なる |
選び方のポイント
取引先がどれくらい変わってくれるか、先に確認する
受発注システムを導入しても、取引先が使ってくれなければ意味がない。「うちはFAXじゃないと困る」という取引先が多い場合、まずその取引先から話を通す必要がある。
導入前に主要な取引先3社程度に「システムに切り替えたい」と打診してみると、温度感が分かる。
販売管理システムと連携できるか確認する
すでにfreeeや弥生、マネーフォワードなどの販売管理・会計ソフトを使っている場合、受発注データが自動で連携されるかどうかで、業務の手間が大きく変わる。
連携できない場合、受発注システムに入ったデータを再度手入力することになり、ミスが減らない。
無料トライアルで実際に使ってみる
デモや資料だけでは分からない部分が多い。CO-NECTのように無料プランがあるツールは、まず実際に使ってから判断できる。
IT導入補助金の活用を検討する
受発注システムの多くはIT導入補助金の対象となっている。種類によって補助率が異なり、最大3/4の補助を受けられるケースもある。申請のタイミングがあるため、導入を決めたら早めに確認してほしい。詳細はIT導入補助金2026|中小企業が使える補助金と申請の流れで整理している。
まとめ
受発注管理をFAX・エクセルで続けている会社は多いが、担当者が変わる・取引量が増えると問題が一気に顕在化する。
システム化で変わるのは「転記作業の削減」だけではない。処理状況の見える化、データの蓄積、テレワーク対応など、仕組みとして回せる状態を作れる。
費用面では、CO-NECTのように月額2,000円以下から使えるツールもある。まずはスモールスタートで使い始め、取引先の反応を見ながら広げていくのが現実的だ。
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