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受発注業務をAIで自動化する方法と費用|中小企業の実践手順

受発注業務は、手作業の割合が高い割に付加価値が低い。

取引先から来たFAXや注文メールを見て、Excelや基幹システムに手入力する。在庫を確認して、発注書を手で作る。確認の電話をかける。こういった作業が、毎日繰り返されている。

業種によっては1日に何十件もの受発注処理がある。スタッフが一人でこれを回していると、業務がその人に依存しきってしまう。休んだ日の処理が翌日に積み上がり、繁忙期には残業が増える。

この記事では、受発注業務をAIで自動化する具体的な方法を解説する。すべてを一気に変えるのではなく、どこから手をつけるかの判断軸も整理する。

受発注業務で時間がかかる作業はどこか

まずは受発注業務のどの工程に時間がかかっているかを整理する。

一般的な受発注の流れは以下の通りだ。

  • 取引先から注文を受ける(FAX・メール・電話・EDIシステム)
  • 注文内容をシステムに入力する
  • 在庫を確認する
  • 納期・数量を確認して取引先に回答する
  • 発注書・出荷指示書などを作成する
  • 実際の出荷・配送手配をする

この流れの中でAIが特に効果を発揮するのは、2(入力)と5(書類作成)だ。

逆に、在庫確認や出荷手配は社内の実態と連動する部分なので、システム連携が必要になる。AIだけで完結させるのは難しい。

AIで自動化できること・できないこと

受発注業務のAI自動化を検討する前に、何ができて何ができないかを明確にしておく。

できること

メール・FAXからの情報抽出

取引先からの注文メールを読み取り、「注文者名・品番・数量・希望納期」などの情報を自動で抽出する。FAXはOCR(文字認識)と組み合わせることで、手書き部分も一定精度で読み取れる。

これにより、メールを開いて内容を読み取り、別のシステムに手入力するという作業がなくなる。

発注書・注文確認書の自動作成

注文情報を入力すると、取引先に送る確認書や社内向けの発注書を自動で生成する。Word・Excel・PDFの形式で出力できる仕組みを作ることもできる。

確認メールの自動返信

「ご注文を承りました。○月○日発送予定です」のような定型的な確認メールを自動送信する。メール内容に応じた返信文も、生成AIを使えば対応できる。

問い合わせ対応の補助

「この注文はいつ届きますか」「数量を変更したい」といった問い合わせへの返信文を、生成AIが候補を出す。担当者が確認して送信するが、文章を考える時間が大幅に短縮できる。

難しいこと

在庫のリアルタイム確認

AIだけでは在庫の実数値にアクセスできない。基幹システムや在庫管理システムとのAPIを組み合わせる必要がある。

複雑な価格交渉や納期調整

取引先と条件を交渉するプロセスは、人間の判断が必要だ。AIは素案を出すことはできるが、最終判断は担当者が行う。

例外処理・特殊対応

通常の注文フローから外れる緊急対応や特例処理は、AIへの自動化が難しい。これらはシステム化よりも「社内の手順を決める」方が有効だ。

取り組む順番と具体的な手順

受発注業務のAI自動化は、以下の順序で進めると失敗が少ない。

ステップ1: 現在の業務フローを書き出す

「どこから来た注文を・誰が・何をして・どこに渡しているか」を1枚の紙に書き出す。この工程を省いてツールを入れると、必ずどこかで手作業の穴が残る。

注文の入口(FAX・メール・電話・Web)ごとに分けて書くのがポイントだ。入口によって自動化の難しさが変わる。

ステップ2: 件数と時間を把握する

1日・1週間にどれくらいの件数の注文が来るか、1件あたりの処理にどれくらい時間がかかるかを計測する。

この数字がないと、自動化の投資対効果が計算できない。「大体10件くらい」ではなく、できれば2週間分のログを取る。

ステップ3: 最もパターンが決まっている入口から手をつける

取引先からの注文が「特定のフォーマットのメール」で来るなら、そこから自動化を始める。フォーマットが決まっているほど、AIの精度が上がり、自動化がしやすい。

FAXは最初から完全自動化を目指さない。OCRで読み取った内容をAIが整形した上で、担当者が確認してシステムに転記するという「半自動化」から始める。

ステップ4: ツールを選ぶ

自動化に使えるツールは主に以下の組み合わせになる。

メール処理の自動化:

  • Gmail / Outlook + Zapier(メールが来たら特定の処理をトリガーする自動化)
  • Google Apps Script(Gmailと連携したスクリプトを書く)
  • Make(Zapierと同様の自動化ツール、より複雑なフローに対応)

FAX処理の自動化:

  • e-受信FAX等のFAX受信サービス(FAXをメールやPDFに変換)
  • AI OCRサービス(PDFを読み取ってテキストデータに変換)

書類作成の自動化:

  • Google Docs / Word + スクリプト(テンプレートに差し込み印刷する形)
  • ChatGPT / Claude(Zapier等と連携して書類の文章を生成)

最初からすべてをつなぐのではなく、「メール→Zapier→Googleスプレッドシートに転記」という最小限のフローから始めるのが現実的だ。

ステップ5: 動作確認と例外処理のルールを決める

自動化を動かし始めると、想定外のパターンが必ず出てくる。「フォーマットが違うメールが来た」「数量が空白だった」「取引先名が略称で入力されていた」など。

この例外をどう処理するかを、最初に決めておく。「例外は担当者に通知して手動で処理」「特定の条件でエラーを出す」など、ルールを明文化しておく。

費用の目安

受発注業務のAI自動化にかかる費用は、取り組む範囲によって大きく変わる。参考として以下に整理する。

ツール費用(月額):

  • Zapier: 無料プランあり、件数が増えると有料プランが必要(公式サイトで最新価格を確認)
  • Make: 無料プランあり、処理ステップ数が多くなると有料プランが必要(公式サイトで確認)
  • AI OCRサービス: 月数千円〜(サービスにより大幅に異なる)
  • e-FAX系サービス: 月1,000円〜数千円程度(サービスにより異なる)

設計・実装費用:

  • 自分でやる場合: ツール代のみ(ただし設計・設定に数十時間の学習コストがかかる)
  • フリーランスに依頼する場合: 設計・実装で10〜30万円程度
  • AI顧問に依頼する場合: 月額数万円〜で業務設計から実装・運用のサポートまで対応

自分でやるか外部に頼むかの判断基準

受発注業務のAI自動化を自分でやるか、外部専門家に依頼するかは以下の観点で判断する。

自分でやる方が向いている会社:

  • 社内にExcelやGoogleスプレッドシートを使いこなせるスタッフがいる
  • 注文の入口がメールのみで、フォーマットが比較的整っている
  • 処理件数が少なく、完全自動化より「入力を楽にする」程度で十分

外部に依頼した方が向いている会社:

  • 注文の入口が複数あり(FAX・メール・電話・Web注文)、処理が複雑
  • 自動化の設計を考える時間が取れない
  • 失敗したくない・確実に動く仕組みを最短で作りたい

受発注業務は会社の収益に直結するため、「なんとなく始めて壊れた」では困る。設計段階で専門家の目を入れることで、後から手直しが少なくなる。

まとめ

受発注業務のAI自動化で最初に手をつけるべきは「メールからの情報抽出」と「書類の自動生成」だ。

FAXや電話は完全自動化を最初から目指さず、半自動化(AIが整形したものを人間が確認する)から始める方が失敗が少ない。

ツールはZapier・Make等の自動化ツールと生成AIの組み合わせが基本になる。自社の注文フローを書き出し、どの入口から手をつけるかを決めてから動き出す。

外部の専門家(AI顧問・フリーランス)への依頼は、複数の入口を一気に自動化したい場合や、設計に時間を割けない会社に向いている。

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