「記帳くらい自分でできる」と思って会計ソフトに向き合い、気づけば毎月末に数時間を費やしている経営者は多い。
自分でやった方が安いのか、外注した方が得なのか。この記事では、判断基準をチェックリスト形式で整理した上で、実際の費用比較も合わせて示す。
まず「記帳代行」が何をするかを確認する
記帳代行は、領収書・通帳明細・請求書などの証憑をもとに、仕訳を入力して帳簿にまとめる作業を代行するサービスだ。
具体的には以下の作業が含まれる。
- 領収書・レシートの整理・仕訳入力
- 通帳明細の取り込みと勘定科目の割り当て
- 月次試算表の作成
税務申告そのものは税理士の業務であり、記帳代行の範囲ではない点に注意が必要だ。記帳代行と顧問税理士を組み合わせて使うケースが一般的となっている。
判断基準チェックリスト
以下の項目に当てはまるものの数を数える。
外注を検討すべきサイン
- [ ] 毎月の記帳作業に3時間以上かかっている
- [ ] 経営者自身が記帳を担当していて、本業に集中できていない
- [ ] 簿記の知識がなく、仕訳が合っているか不安がある
- [ ] 月次の数字を把握するのが翌々月になっている
- [ ] 経理担当者が退職して記帳が滞っている
- [ ] 税理士から「記帳が遅い」「領収書が整理されていない」と指摘されたことがある
- [ ] 月の取引件数が100件を超えている
3つ以上当てはまる → 外注を検討する段階にある
1〜2つ → 現状維持で問題ないが、取引件数が増えてきたら見直す
0個 → 自分でやる体制が整っている
自分でやってよいケース
以下の条件が全て揃っている場合は、無理に外注する必要はない。
1. 月の仕訳件数が50件以下
仕訳件数が少ない場合、作業時間は月1〜2時間程度に収まる。クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード等)を使っていれば、銀行連携で自動仕訳も機能する。
2. 簿記2〜3級の知識がある、または経理担当者がいる
正確に仕訳できる人材が社内にいる場合、精度的なリスクは小さい。
3. 経営者が記帳に時間を使っていない
経営者の時間は最も希少なリソースだ。「経理担当者が月2〜3時間で処理している」という状況であれば、外注する優先度は低い。
外注すべきケース
ケース1:経営者が記帳を担当している
経営者が記帳をやっている時間は、本来なら営業や経営判断に使える時間だ。月3時間であっても、その時間を本業に充てた方が会社にとってプラスになる。記帳代行の月額費用(6,000〜2万円)で手放せるなら、費用対効果は高い。
ケース2:仕訳ミスが発生している
仕訳のミスは連鎖的に発生する。1つのミスが貸借対照表のバランスを崩し、修正のために全仕訳を確認する作業が必要になる。簿記の知識がない状態での記帳は、ミスの発見が遅れるほどコストが高くなる。
ケース3:月次の数字を把握できていない
会計事務所に証憑をまとめて渡して丸投げしている場合、試算表が出るまでに2〜3ヶ月かかることがある。月次で経営数字を確認できなければ、問題の発見が遅れる。記帳代行を使うことで、翌月15日前後に試算表を受け取れる体制を作れる。
ケース4:経理担当者が退職した
一人経理が退職したタイミングは、記帳代行への移行を検討する好機だ。新しい担当者を採用するより早く・安く業務を安定させられる。
費用の比較
記帳代行業者に依頼した場合
| 仕訳件数(月) | 月額費用の目安 |
|---|---|
| 50件以下 | 5,000〜1万円 |
| 100〜200件 | 1万〜2万円 |
| 200〜400件 | 2万〜4万円 |
税理士事務所に依頼した場合
記帳代行のみであれば月1万〜3万円が相場。顧問料(税務申告・相談)込みの場合は月2〜5万円程度になる。
社内スタッフ(パート・派遣)を雇用した場合
パートを1名採用して記帳業務を任せる場合、社会保険なしでも月8〜12万円がかかる。月の仕訳件数が400件を超えてくるまでは、外注の方がコストを抑えやすい。
経営者が自分でやった場合(機会コスト)
| 月の作業時間 | 機会コスト(時給3,000円換算) |
|---|---|
| 2時間 | 6,000円/月 |
| 5時間 | 1万5,000円/月 |
| 10時間 | 3万円/月 |
経営者が月5時間以上を記帳に費やしている場合、機会コストは外注費用を上回る可能性が高い。
どの業者に頼むか:3つの選択肢
選択肢1:記帳代行専門業者
費用を最小限に抑えたい場合に向いている。記帳に特化しているため、税務申告や経営相談は別途税理士が必要になる。月額5,000〜2万円程度が相場。
選択肢2:税理士事務所(記帳代行付き顧問)
記帳代行と税務申告・相談が一体になっている。費用は高くなるが、窓口が一本化できる。月2〜5万円。
選択肢3:経理代行サービス(BPO)
記帳だけでなく、請求書管理・給与計算・支払い処理まで対応できる。フルアウトソーシングを検討する場合はこちら。月3〜15万円(業務範囲による)。
外注先を選ぶときの確認ポイント
費用だけで選ぶと後悔するケースがある。以下を事前に確認する。
1. 使用している会計ソフトに対応しているか
freee・マネーフォワード・弥生会計など、自社のソフトに対応していない場合はソフトの移行が必要になる。
2. 証憑の提出方法
毎月領収書を郵送するのか、スキャンしてアップロードするのかによって手間が変わる。クラウド対応している業者の方が手軽だ。
3. 試算表の提出タイミング
月次試算表がいつ届くかを確認する。翌月15日以内に届かない場合、経営判断への活用が難しくなる。
4. 担当者の固定制
担当者が変わるたびに業務説明が必要になる。担当者固定制かどうかを確認する。
まとめ:判断の基準は「経営者の時間が使われているか」
記帳を自分でやるか外注するかの判断基準は、費用の大小よりも「誰の時間が使われているか」が本質だ。
経営者が月3時間以上を記帳に費やしている場合、外注費用(月6,000〜2万円)は十分に回収できる。逆に経理担当者が短時間で処理できている場合は、急いで外注する必要はない。
まず「毎月の記帳に何時間かけているか」を計測することが、判断の出発点になる。
「自分でやるか外注するか、自社の場合どちらが合うか相談したい」という方は、無料相談はこちらから気軽にご連絡ください。
記帳代行の費用相場について詳しく知りたい方は、経理代行の費用を実例で公開|従業員規模別の月額料金まとめもあわせてご覧ください。