「業務マニュアルを作りたいが時間がない」という声を中小企業から頻繁に聞く。マニュアル作成は重要だと分かっていても、「書く時間がない」「どう書けばいいか分からない」という状態で後回しになりやすい。
ChatGPTを使えば、担当者へのヒアリング内容をテキストにまとめて貼り付けるだけで、マニュアルの下書きが数分で生成できる。
この記事では、ChatGPTを使った業務マニュアル作成の3ステップとプロンプトをまとめる。
1. マニュアル作成のどこにChatGPTが使えるか
業務マニュアル作成の流れと、ChatGPTが使える部分を整理する。
| ステップ | 作業内容 | ChatGPTの貢献 |
|---|---|---|
| 1. ヒアリング | 担当者に業務内容を聞く | 不要(人がやる) |
| 2. テキスト化 | ヒアリング内容を記録する | △(メモ取り補助) |
| 3. マニュアル下書き | 構造化・見出し・手順書作成 | ◎(最も時間削減) |
| 4. 確認・修正 | 担当者と内容確認 | 不要(人がやる) |
| 5. 最終整形 | 体裁・図表の追加 | △(補助的に使える) |
ChatGPTが最も効果を出すのは「ステップ3:マニュアル下書き作成」だ。ヒアリングで得た情報を箇条書きで渡すと、構造化されたマニュアルの下書きが数分で生成できる。
2. 基本のマニュアル作成プロンプト
担当者からヒアリングしたメモを貼り付けると、手順書形式のマニュアル下書きを生成する。
プロンプト例:
以下は、担当者から聞いた業務内容のメモです。
このメモをもとに、新人担当者向けの業務マニュアルを作成してください。
【業務名】
月末の請求書発行作業
【ヒアリングメモ(箇条書きでOK)】
- 毎月末に売上一覧をExcelで確認する
- 売上一覧の「請求対象」列がYESになっている行を抽出する
- 会計ソフト(freee)で請求書を作成する
- 会社ごとに請求金額・支払い期日が違う(別シートに取引先マスタがある)
- 請求書PDFを担当者にメールで送る
- 送った記録をExcelに記録する
- 経理担当者のチェックを受けてから送信する(チェックが必要)
【作成形式】
- 目的・対象者
- 実施タイミング
- 必要なもの・前提条件
- 手順(番号付き、具体的に)
- 注意事項・よくあるミス
- 関連する様式・ファイルの場所
※担当者と私が内容を確認・修正します
3. 複雑な業務を分解するプロンプト
「業務がどこから始まるか・何を判断しているか」が曖昧な場合、まず業務を分解してから各ステップのマニュアルを作る。
ステップ1: 業務の全体像を整理するプロンプト
以下は「○○業務」の担当者から聞いた内容です。
まずこの業務の全体フロー(スタートからゴールまでの流れ)を箇条書きで整理してください。
【担当者からの説明(メモ)】
(ヒアリングメモを貼り付ける)
条件:
- 誰がいつ何をするかを明確に
- 「判断が必要なポイント」を★マークで示す
- フロー全体が5〜8ステップに収まるようにまとめる
ステップ2: 各ステップの詳細マニュアルを作るプロンプト
以下の「○○業務のフロー ステップ3」について、
担当者が初めて見ても理解できる手順書を作成してください。
【ステップ3の内容】
(前のプロンプトで整理したステップ3の内容を貼り付ける)
【担当者から追加で聞いた詳細メモ】
(詳細メモを貼り付ける)
形式:
- 具体的な操作手順(どのボタンを押す、どこに入力する等)
- スクリーンショットが必要な箇所には「【スクリーンショット挿入位置】」とだけ書く
- 注意事項・よくあるミスを最後にまとめる
4. 「なんとなく理解している業務」をマニュアル化するプロンプト
「担当者が見様見真似で覚えた業務」「ルールが明文化されていない業務」を文書化する場合。
まず担当者に「実演しながら説明してもらう → 録音 → テキスト化」の流れが効果的だ。
プロンプト例(録音テキストから作成):
以下は担当者が業務を実演しながら説明した音声のテキスト化データです。
このテキストをもとに、引き継ぎ可能な業務マニュアルを作成してください。
【注意事項】
- 説明が前後している部分は整理して手順を並べ直す
- 暗黙知になっている部分(「なんとなくこうする」等)は「★確認が必要な箇所」としてマーク
- 「担当者しか分からないこと」はマニュアルに記載せず「要確認」として残す
【テキスト】
(録音テキストを貼り付ける)
5. マニュアル品質チェックプロンプト
作成したマニュアルの下書きが「新人でも理解できるか」を確認する。
プロンプト例:
以下の業務マニュアルを「その業務をやったことがない人」の視点で確認してください。
確認ポイント:
1. 初めて読んだ人が手順通りにやっても失敗しそうな箇所はどこか
2. 説明が曖昧な部分はどこか(「適切に」「なるべく」等の曖昧表現)
3. 「なぜこの手順が必要か」が分からない箇所はどこか
4. 図・スクリーンショットがあった方が分かりやすい箇所はどこか
確認後に、修正提案を箇条書きで出してください。
【マニュアル本文】
(マニュアルを貼り付ける)
6. 注意点
「ChatGPTが作ったマニュアル」は一次情報ではない
ChatGPTはヒアリング内容を「それらしく整理」するが、実際の業務手順の正確性は担当者が確認する必要がある。
「ChatGPTが作ったから正しい」ではなく「担当者が確認したから正しい」という状態にしてから使用する。
業務マニュアルに個人情報・機密情報を入れるプロンプトは注意
顧客情報・社内の非公開情報・財務数字等を含む業務のマニュアルを作成する場合は、ChatGPT Business/Team プランで学習無効化設定を確認してから使う。
まとめ
ChatGPTで業務マニュアルを作る流れは:
- 担当者にヒアリングしてメモを取る(録音も効果的)
- メモをChatGPTに貼り付けてマニュアル下書きを生成する
- 担当者と一緒に内容を確認・修正する
「書く時間がない」からマニュアル化が進まない、という状況の大半は「ChatGPTに書かせて確認するだけ」という作業に変えることで解決できる。
まず1つの業務から試してみる。マニュアル作成に1時間かかっていた作業が30分以下になれば、他の業務にも展開しやすくなる。