AI顧問・AI導入支援

AI顧問とDXコンサルの違い|中小企業の選び方

「DXコンサルとAI顧問、どっちに頼めばいいのか」

この問いを持つ中小企業の経営者は多い。どちらもAI・デジタル活用の支援と説明されていて、サービスページを見ても違いが分かりにくい。実際に問い合わせしてみると、片方は数百万円のプロジェクト費用、もう片方は月10万円の継続契約、というギャップに戸惑う。

結論から言う。AI顧問とDXコンサルは根本的に違うサービスだ。対象規模も、費用も、何が残るかも、全部違う。

業務効率化に特化したエンジニアとして複数の中小企業の現場を見てきた経験から、この2つの選択で後悔が起きるパターンははっきりしている。この記事では7軸の比較と、従業員5〜50人規模の中小企業がどちらを選ぶべきかの判断基準を整理する。

一言で言うと何が違うか

DXコンサルは、デジタル技術全般を使って企業変革を実現するプロジェクト型の支援だ。戦略策定・システム選定・実装まで一括で引き受ける。コンサルファームがチームを組んで入り込み、3〜12ヶ月で成果物を納品して終わる。

AI顧問は、AIを使った業務改善を月額継続型で伴走する支援だ。業務への定着まで関わり続け、月次MTGとチャットサポートで「社内がAIを使えるようになる状態」を目指す。

本質的な違いは3点だ。

  • DXコンサルは終わる。AI顧問は続ける
  • DXコンサルはプロジェクト単位で動く。AI顧問は月額で動く
  • DXコンサルの主戦場は中堅〜大企業。AI顧問の主戦場は中小企業

7軸で比較する

比較軸 AI顧問 DXコンサル
費用 月5〜30万円(伴走型) 月20〜150万円以上(プロジェクト単価)
契約形態 月額継続(3ヶ月〜) プロジェクト一括契約
期間 半年〜1年以上 3〜12ヶ月で完結
対象企業規模 5〜50人の中小企業が多い 中堅〜大企業がメイン
扱う領域 AI特化(生成AI・自動化ツール) DX全般(システム・プロセス・組織)
何が残るか 社内の運用定着・AI活用スキル 戦略レポート・システム・設計書
関わり方 月次MTG+日常のチャットサポート プロジェクトチームとして現場投入

費用の差は大きい。中堅クラスのDXコンサル会社で月額20〜50万円、大手コンサルファームになると月額150万円以上になることが多い。プロジェクト総額でみると、初期診断から実装支援まで含めると数百万円規模になる。

AI顧問は月5〜30万円程度が相場で、当社(ラズリ)は月10万円のプランで提供している。

DXコンサルが向いているケース

DXコンサルが力を発揮するのは、以下のような状況だ。

大規模なシステム刷新が必要なとき

基幹システムの入れ替え、ERPの導入、複数部門にまたがる業務設計など、大掛かりな案件はDXコンサルの領域だ。設計・ベンダー選定・プロジェクト管理を一括で動かせる体制がある。

DX戦略を取締役レベルで整理したいとき

経営戦略に紐づいたDXロードマップを作りたい、複数事業のデジタル化を俯瞰して設計したい、という場合はDXコンサルのアウトプットが役に立つ。

従業員200人以上の中堅企業

それだけの規模になると、業務の複雑さと関係者の多さで、専任のコンサルチームが動かないと前に進まない案件が出てくる。

AI顧問が向いているケース(中小企業のほとんどはここ)

従業員5〜50人規模の中小企業にとって、DXコンサルはほとんどのケースで費用対効果が合わない。

理由はシンプルだ。

月20〜50万円以上の費用を出せる中小企業は少ない。さらにプロジェクト型なので3〜6ヶ月の期間が終わると契約終了になる。現場に残るのは戦略レポートと設計書だけで、「AIを使い続けられる状態」には至っていないというのが、後からAI顧問へ相談に切り替えてくる企業の共通パターンだ。

AI顧問が向いているのは以下の状況だ。

AIを使い始められない、使ってもすぐ止まるとき

ツールを導入しても現場で使われなくなる原因は、初期設定の問題ではなく「誰がどう使うか」の設計の問題であることが多い。月次で定着を確認しながら修正できるのが伴走型の強みだ。

どのツールを選べばいいか分からないとき

ChatGPT、Claude、各種RPA、バックオフィス自動化ツール——選択肢が多すぎて判断できない状況で、自社の業務に合ったものを選んで実際に動かすところまで伴走するのがAI顧問の仕事だ。

特定業務から小さく始めたいとき

経理・採用事務・問い合わせ対応など、1〜2業務のAI化から始めて、効果を確認しながら範囲を広げていく進め方はDXコンサルの全体設計型とは相性が悪い。AI顧問の方が実態に合う。

DXコンサルに頼んで後悔したケース

DXコンサルを活用した後にAI顧問への相談に切り替えてくる企業からよく聞く話を整理する。

「コンサルが帰ったら誰も動かせなかった」

プロジェクト終了後、社内に推進できる人材がおらず、ツールが放置される状態になる。DXコンサルは知識移転を明示的にスコープに入れないと、ノウハウが外部に留まったまま終わる。中小企業に「DX担当者」がいないのが前提なのに、引き継ぎ先がいない状況で終わる。

「設計書は立派だが実装に踏み出せない」

戦略フェーズの成果物は分厚いレポートと詳細な設計書だ。中小企業にとってはそれを誰が実装するのか、費用はどこから出るのかが次の壁になる。設計と実装の費用が別枠になっていることに気づかず契約したケースも少なくない。

「月次で続けてほしかったが、継続支援が高すぎた」

プロジェクト後の定着支援を依頼すると月額30〜100万円かかる場合がある。最初から月10万円のAI顧問を選んでいれば、同じ期間で安定した伴走支援が続けられた、という逆算になる。

3つの質問で判断できる

「予算と目的で選ぶ」は正しいが、抽象的で判断しにくい。以下の3つの質問に答えると、どちらが合うかが見えてくる。

質問1: 「今、社内にDX担当者がいるか?」

いる → DXコンサルも選択肢に入る(設計した後を動かせる人間がいるため)

いない → AI顧問が現実的(担当者育成込みで伴走するモデルのため)

中小企業の多くは専任のDX担当者を置いていない。その状態でDXコンサルを入れると、プロジェクト終了後に成果物を活かせる人間がいない状態になる。

質問2: 「やりたいことは業務改善か、システム構築か?」

業務改善(経理・採用・問い合わせ対応などの効率化) → AI顧問

大規模システム構築(基幹システム刷新・複数部門のデジタル化) → DXコンサル

従業員50人以下の企業で「大規模システム刷新」が課題になっているケースはまれだ。多くの場合は「日常業務のAI化」「特定業務の自動化」という方向性になる。それであればDXコンサルの大型プロジェクトではなく、AI顧問の伴走支援が合う。

質問3: 「月いくら、何ヶ月かけられるか?」

月5〜30万円・長期(半年〜1年以上) → AI顧問

月30万円以上・短期集中(3〜6ヶ月) → DXコンサル

予算の問題だけでなく、時間軸の問題でもある。「半年以内に成果を出してほしい」という短期集中の案件はDXコンサルが向いている。「じっくり社内に定着させたい」という方針なら月額型のAI顧問が合う。

予算別の判断軸

具体的な予算で考えると、おおよその目安はこうなる。

月額予算 適した選択肢
月5〜30万円 AI顧問(伴走型)
月20〜50万円 中堅DXコンサル or AI顧問(上位プラン)
月50万円以上 DXコンサル(中堅以上)
月150万円以上 大手コンサルファーム

予算だけで決めることはできないが、一つの目安になる。5〜50人規模の中小企業で月10〜30万円の予算があれば、AI顧問の選択肢が最も現実的だ。

「AIコンサル」との違いについて

「AI顧問」「AIコンサル」「DXコンサル」という3つの言葉が混在していて紛らわしい。

  • AI顧問: 月額継続型。AIを使った業務改善を伴走支援
  • AIコンサル: プロジェクト型。AI活用の戦略・設計・PoC(概念実証)を実施して終わる
  • DXコンサル: プロジェクト型。デジタル全般の変革を設計・実行する

AI顧問とAIコンサルの違いについては、別記事で詳しく整理しているので参考にしてほしい。

AI顧問の選定で気をつけること

AI顧問を選ぶと決めた場合にも注意点がある。

「AI顧問」という名称で提供されているサービスの中には、実態がツール紹介だけのものや、月1回オンラインMTGのみで具体的な業務改善まで関与しないものもある。選ぶ際には以下を確認するといい。

  • 業務フローの分析と再設計をやってくれるか
  • ツールの設定・プロンプト設計まで関与するか
  • 社内への展開(社員への使い方説明)を支援するか
  • 月次MTG以外の連絡手段があるか(チャットや非同期サポート)

これらをスコープとして明示しているかどうかで、名前だけのAI顧問と実務に入る顧問の差が分かる。

まとめ

従業員5〜50人の中小企業が「AIやDXを進めたい」と思ったとき、DXコンサルは費用・期間・残るものの観点でミスマッチが生じやすい。

AI顧問は月額継続型でAIに特化した伴走支援だ。ツールを入れて終わりにならず、実際に社内で使われる状態になるまで関わる。

両者は競合するサービスではなく、そもそも対象とする規模・フェーズ・予算が違う。DXコンサルは中堅〜大企業向けの大型投資、AI顧問は中小企業向けの月額投資と理解するのが正確だ。

どちらが自社に合うかの判断軸は一つだ。「月いくらの予算で、何を目的にするか」——この2点が決まれば、自然とどちらを選ぶべきかが見えてくる。

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