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AIで求人票を作る方法|中小企業が今日から使えるプロンプト付き

求人票を書くのが苦手、という中小企業の経営者は多い。何を書けばいいかわからない、書いたはいいが応募が来ない、採用のたびにゼロから考えている。AIを使えばこれが変わる。ポイントはAIに渡す情報を事前に整えることで、そこさえできれば30分程度でドラフトが仕上がる。この記事では、採用担当者がいない中小企業がAIで求人票を作るための手順と、コピペしてすぐ使えるプロンプトをまとめた。

AIで求人票を作る前に準備する4つの情報

「ChatGPTに求人票を書いてもらったけど薄い文章しか出なかった」という話をよく聞く。原因はほぼ決まっていて、AIに渡す情報が不足しているか、曖昧なままにしている。

AIは与えられた情報をもとに文章を生成するツールだ。情報がなければ、どの会社にも当てはまる当たり障りのない文章を出力するしかない。逆に言えば、渡す情報さえ整えれば、AIは文章のプロとして機能する。

準備が必要な情報は4つだ。

準備シート(コピペして使える)

項目 記入欄
① 募集背景 欠員補充 / 増員 / 新規事業のどれか。簡単な背景も書く
② 業務内容 週次タスクを3〜5個の箇条書きで(「〇〇をする」の形で)
③ 人物像(Must) 絶対に必要なスキル・経験(未経験OK等を書くなら空欄でも可)
③ 人物像(Want) あれば嬉しいスキル・経験
④ 自社の魅力 競合と比べて1点だけ言えること(規模・雰囲気・成長性など)

この4点をA4用紙1枚分程度の箇条書きで書き出してからAIに渡すと、出力のクオリティが大きく変わる。「求人票を書いて」だけのプロンプトで丸投げするのと、この情報を渡してから依頼するのとでは、出力結果が別物になる。

業務効率化に特化したエンジニアとして複数の中小企業の採用をサポートしてきたが、うまくいっている会社は例外なく「AIに渡す前に情報整理をしている」という共通点がある。この工程を省いたままAIを使おうとするから「使えない」という結論になる。

AIで求人票を作るプロンプト(3パターン)

準備シートの情報を埋めたら、以下のプロンプトにそのままペーストして使う。ChatGPT(無料版でも動作する)でもClaudeでも同じプロンプトが使える。

パターン1: 事務・バックオフィス職


あなたは採用担当者です。以下の情報をもとに、中小企業向けの求人票の文章を作成してください。

【募集背景】
(ここに記入)

【業務内容(週次タスク)】
(ここに記入)

【求める人物像】
Must(必須):
Want(歓迎):

【自社の特徴・魅力】
(ここに記入)

【出力形式】
以下の項目ごとに文章を作成してください。
- 仕事内容(300字以内)
- 求める人物像(200字以内)
- 職場の特徴・魅力(200字以内)
- キャッチコピー(30字以内)

出力例(準備シートに情報を入れた場合):

仕事内容:主に請求書の発行・管理、経費精算の取りまとめ、各部署からの問い合わせ対応などを担当していただきます。freeeを使った月次の帳簿入力も業務の一つです。現在は1名体制のため、業務をひととおり習得していただいた後はご自身で優先順位をつけて動ける環境です。

求める人物像:経理や総務の実務経験がある方を想定していますが、会計ソフトの経験がなくても基本的なPCスキルがあれば問題ありません。複数の業務を並行して進めることに慣れている方、または以前の職場でそういった経験がある方を歓迎します。

職場の特徴・魅力:社員15名の少人数の会社のため、経営者と直接やりとりする機会が多く、業務改善の提案も通りやすい環境です。リモートワーク週2日可、残業は月平均10時間以下です。

キャッチコピー:少人数で裁量大きく、バックオフィスをまとめる1名募集

パターン2: 営業職


あなたは採用担当者です。以下の情報をもとに、中小企業向けの営業職の求人票文章を作成してください。

【募集背景】
(ここに記入)

【業務内容(主な活動)】
(ここに記入)

【扱う商材・サービス】
(ここに記入)

【求める人物像】
Must(必須):
Want(歓迎):

【自社の特徴・魅力】
(ここに記入)

【出力形式】
- 仕事内容(300字以内)
- 求める人物像(200字以内)
- 職場・働き方の特徴(200字以内)
- キャッチコピー(30字以内)

パターン3: 現場スタッフ(製造・飲食・サービス業)


あなたは採用担当者です。以下の情報をもとに、現場スタッフの求人票文章を作成してください。

【業種・職種】
(ここに記入)

【1日の業務の流れ(箇条書き)】
(ここに記入)

【特に伝えたい労働条件】
(ここに記入)

【求める人物像】
Must(必須):
Want(歓迎):

【職場の雰囲気・特徴】
(ここに記入)

【出力形式】
- 仕事内容(300字以内)
- 1日の流れ(箇条書き形式)
- 職場環境・魅力(200字以内)
- 応募者へのメッセージ(100字以内)

プロンプトを使うコツが1つある。プロンプトの冒頭で「あなたは採用担当者です」と役割を与えることで、AIが採用文脈で最適な表現を選びやすくなる。「求人票を書いてください」だけの指示と比べると、文章のトーンと構成が明確に変わる。

プロンプトの使い方についての全般的な解説は業務でそのまま使えるプロンプトテンプレート10選でまとめているので、求人票以外の業務でも参考にしてほしい。

AIが作った求人票を「どこにでもある文章」で終わらせない3つの手直し

AIが生成した文章をそのままにして媒体に出す会社が多いが、これが応募率が低い原因になっている。業務効率化に特化したエンジニアとして複数の採用をサポートしてきた経験から言えることがある。AIが作ったドラフトを手直しせずにそのまま出した場合と、3点だけ修正した場合とでは、応募数に差が出やすい。

修正は3点だけでいい。

手直し1: 固有名詞を入れる

AIは汎用的な表現を好む傾向がある。「最新のシステムを活用できます」「ITツールを積極的に導入しています」といった表現は、どの会社にも書ける文章で、求職者には何も伝わらない。

修正のポイント:

修正前(AI出力) 修正後(固有名詞入り)
最新の会計システムを活用できます freeeとkintoneを使っています
ITツールを積極的に導入しています Slack・Notion・Zapierを日常業務で使っています
充実した福利厚生があります 社員全員に書籍購入費(月3,000円)の補助があります

固有名詞があると「この会社はきちんとした会社だ」という印象を求職者に与える。ツール名、補助制度名、取引先業種などを具体的に書くだけで読みやすさが変わる。

手直し2: 数字を3カ所入れる

数字がない求人票は読み飛ばされやすい。「残業少なめ」より「月平均残業8時間」、「少人数の職場」より「社員12名」の方が候補者に伝わる。

入れやすい数字の例:

  • 社員数
  • 創業年数(「創業23年」等)
  • 平均残業時間
  • 有給休暇取得率
  • 賞与実績(「直近2回の賞与実績は各2.2か月分」等)

これらの数字を社内資料から引っ張ってきて、AIが生成した文章の中の抽象的な表現と置き換えるだけでいい。

手直し3: 「なぜこのポジションが必要か」を1文追加する

「〇〇業務担当を募集しています」だけでは、候補者が「自分がいなくてもいいのでは」と感じやすい。採用背景を1文加えると、候補者がそのポジションの重要性をイメージしやすくなる。

例:

  • 「受注件数の増加に伴い、経理担当者1名では回らなくなったため新設したポジションです」
  • 「これまで外注していた総務業務を社内に戻すために新たに採用します」
  • 「創業メンバーの退職に伴い、後任として戦力になる方を探しています」

この1文はAIに生成させると抽象的になりやすい。実際の社内事情をそのまま書く方が求職者に伝わる。

媒体別の調整(ハローワーク・Indeed・Engage)

求人票のドラフトができたら、出す媒体に合わせて調整が必要になる。各媒体によって文字数制限や推奨される書き方が異なるためだ。

ハローワーク

ハローワークの求人票は「仕事の内容」欄の文字数上限が全角360文字(30文字×12行)と決まっている。また、求人一覧の検索結果では冒頭3行(90文字)しか表示されないため、最初の90文字に何を書くかが重要になる。

AIへの追加指示例:


上記の仕事内容を、ハローワークの「仕事の内容」欄の形式に合わせて書き直してください。
全角360文字以内に収め、具体的な業務タスクを箇条書きで3〜4個含めてください。
冒頭の1〜2文に仕事の全体像をまとめてください。

Indeed

Indeedは求職者が職種・勤務地・キーワードで検索して求人を探す構造になっている。仕事内容の欄に業務で使うツールや関連キーワードを自然に入れると、検索にヒットしやすくなる。

AIへの追加指示例:


仕事内容の文章に、実際に使用するツール名(freee、kintone等)と業務キーワード(請求書管理、経費精算等)を自然な形で組み込んでください。

Engage(エンゲージ)

Engage(エンゲージ)はエン・ジャパンが運営する採用管理サービスで、会社の雰囲気や社風を伝えるコンテンツを充実させると応募率が上がりやすい媒体だ。

AIへの追加指示例:


「職場の雰囲気・社風」のセクションを200字程度で追加作成してください。社員同士のコミュニケーション、働き方の特徴、どんな人が活躍しているかを含めてください。

AIに任せてはいけない部分

「AIで求人票を作れば全部完結する」と思うのは間違いだ。AIは文章を生成するが、内容の正確さは保証しない。

給与・勤務時間・休日の数字はそのまま使わない

AIが生成した文章の中に給与や労働条件の数字が含まれていたとしても、それは実際の条件と一致しているとは限らない。AIは「それらしい数字」を出力するが、根拠はない。

実際の労働条件(雇用契約書、就業規則、給与計算の実績)と照合して、必ず正確な数字に置き換える。

虚偽記載・誇大記載は職業安定法に抵触する

職業安定法では、求人票への虚偽記載や誇大記載を禁止している。職安法第65条により、違反した場合は6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される場合がある。AIは「良く聞こえる表現」を選ぶ傾向があるため、実態と乖離した表現が入り込むことがある。

特に注意が必要な項目:

  • 給与や賞与の表現(「〜以上」「固定給制度あり」等の根拠を確認する)
  • 「残業ほぼなし」等の労働条件の表現
  • 「成長できる環境」等の抽象的な約束

公開前に必ず実態と照合すること。

公開前チェックリスト

確認項目 確認
給与・賞与の数字は実際の条件と一致しているか
勤務時間・休日日数は正確か
使用するツール・システムの名称は正確か
「風通しの良い職場」等の抽象的な表現を固有のエピソードに変えたか
ハローワーク提出の場合、禁止表現が含まれていないか

AIで作った求人票を改善し続ける仕組み

求人票はドラフトを作って終わりではない。出してみて反応を見て、次回に活かすというサイクルが採用の精度を上げる。

前回の求人票をAIに読ませて改善させる

求人票を出した後、応募者数や質のフィードバックをAIに伝えることで、次回のドラフト精度が上がる。

プロンプト例:


前回この求人票を出しました(以下に貼り付け)。
応募者は〇名いましたが、希望する人物像と合わない応募が多かった状況でした。
改善点を3つ教えてください。また、改善後のドラフトも出力してください。

PDCAをAIに回させる発想だ。

応募者の傾向をフィードバックする

「スキルが高すぎる人からの応募が多く、求める人物像と合わなかった」「未経験層からの応募が少なかった」といった傾向をAIに伝えると、次のプロンプトで調整できる。

フィードバックプロンプト例:


前回の求人票では、求める水準より経験が浅い応募者が多く集まりました。
Must要件をより明確にした形で、同じ求人票を書き直してください。

求人票テンプレートを社内ドキュメントに保存する

AIで作成した求人票は、NotionやGoogleドキュメントに保存しておくと次の採用の起点になる。毎回ゼロから情報整理をしなくて済むようになる。

保存しておく項目:

  • 準備シートの記入例(職種別)
  • 使用したプロンプト
  • 最終版の求人票文章
  • 媒体別の調整済みバージョン

僕がコンテンツ制作でやっていることと同じだ。「初稿はAI、磨きは人間、テンプレートは資産」という考え方を採用業務に当てはめると、採用のたびに工数が少しずつ減っていく。

まとめ

AIで求人票を作る手順をまとめる。

  • 準備シートに4つの情報を記入する(募集背景・業務内容・人物像・自社の魅力)
  • プロンプトに情報を貼り付けてドラフトを生成する(職種別プロンプトを使う)
  • 固有名詞・数字・ポジションの必要性を追記して手直しする

AIで時間が短縮できるのは「ゼロから文章を組み立てる工程」だ。情報整理と最終チェックは人間がやる必要がある。この役割分担を守れば、求人票作成は格段に楽になる。

まず準備シートの4つの情報を書き出すことから始めてほしい。それだけで「何を書けばいいかわからない」という状態は解消される。

採用全体の効率化についてはChatGPTを実務で使う方法|中小企業向け具体的な活用例も参考にしてほしい。

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