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社内向けAIチャットボットの導入費用|よくある質問への自動応答を構築する方法

「有給の申請方法を教えて」「経費精算はどこから申請すればいい?」「この件は就業規則のどこに書いてある?」

総務や人事の担当者がいる会社では、こうした問い合わせが日常的に来る。一つひとつは数分で答えられるが、積み重なると半日が消える。しかも聞かれる内容は毎回ほぼ同じだ。

社内向けAIチャットボットは、こうした定型の問い合わせに自動で答えてくれる仕組みだ。この記事では、中小企業が導入する際の費用相場と、よくある質問への自動応答を構築する手順を整理する。

顧客向けチャットボットとの違い

チャットボットには「顧客向け」と「社内向け」の2種類がある。

顧客向けチャットボットは、Webサイトの問い合わせページに設置して、見込み顧客や既存顧客の質問に自動で答えるもの。「営業時間は何時まで?」「料金を教えてください」といった外部からの問い合わせが対象になる。

社内向けチャットボットは、従業員が就業規則や業務手順について調べたいときに、SlackやTeamsなどの社内ツール経由で質問できる仕組みだ。読み込む情報が異なる(社内文書・マニュアル・FAQ等)ため、顧客向けとは製品として別物になる。

この記事では社内向けに絞って費用と手順を解説する。

どんな質問が自動化できるか

社内でよく活用される場面は次の3つが中心だ。

総務・HR系の問い合わせ

  • 有給の申請手順・残日数の確認方法
  • 給与明細の見方・交通費申請の締め日
  • 入退社手続きの流れ
  • 就業規則の内容確認

人事・総務担当者がいる会社では、この種の問い合わせが週に何件も来る。大半は文書を見れば分かる内容だが、「どこに書いてあるか分からないから聞く」というケースが多い。チャットボットが正しいページや回答に直接誘導できれば、担当者の手が空く。

IT・ヘルプデスク系の問い合わせ

  • パスワードリセットの手順
  • 社内ツールの使い方
  • VPN接続の設定方法
  • 会議室予約の操作手順

社内SEがいない会社では、IT系の問い合わせが特定の人間に集中する。チャットボットに操作手順を登録しておけば、担当者を介さずに自己解決できる件数が増える。

経理系の問い合わせ

  • 経費精算の申請手順・締め日
  • 請求書の発行フォーマット・送付先
  • 領収書の管理ルール

経理担当が1人体制の会社では、この種の問い合わせ対応が本来業務を圧迫しているケースが少なくない。

費用相場

社内向けチャットボットの費用はタイプによって大きく異なる。

シナリオ型(ルールベース型)

あらかじめ登録した質問と回答のセットに基づいて回答するタイプ。設定した範囲外の質問には答えられないが、回答が安定している。

目安
初期費用 無料〜10万円程度
月額費用 5,000円〜1万円程度

「よく聞かれる20問」を登録するだけでも、問い合わせ対応の件数はある程度減る。まず試してみたい会社に向いている。

AI型(生成AI・RAG連携型)

社内マニュアルや規定集をAIに読み込ませ、従業員の質問に対して文書から回答を生成するタイプ。設定した範囲外の質問にも、読み込ませた文書をもとに対応できる。

目安
初期費用 10万円〜50万円程度
月額費用 2万円〜15万円程度

「マニュアルはあるが誰も読まない」「文書が多すぎてどこに書いてあるか分からない」という状況に向いている。

カスタム開発型

自社専用の仕組みとして一から開発するタイプ。既存のSaaS型では対応できない要件がある場合に検討する。費用は規模・機能によって100万円以上になる。

中小企業がここから始める必要はない。まずはSaaS型で試すのが現実的だ。

社内向けチャットボットの例

代表的なサービスをいくつか紹介する。料金は変動することがあるため、公式サイトで最新情報を確認してほしい。

OfficeBot

社内FAQ特化型のAIチャットボット。マニュアルや規定集をアップロードするだけで稼働を始められる。SlackやMicrosoft Teamsとの連携に対応している。初期費用35万円程度、月額15万円程度と高めの部類に入るが、導入・運用のサポートが手厚い。社員数が数十人以上で問い合わせ対応の工数が明確に発生している会社に向いている。

RICOH Chatbot Service

リコーが提供するチャットボットサービス。シナリオ型中心で、社内外の問い合わせ対応に使える。料金が抑えられており、IT担当者がいない会社でも設定しやすい構成になっている。中小企業がシナリオ型で最初に試す選択肢として挙がることが多い。

Helpfeel

FAQ検索に特化したサービス。セキュリティ面を重視する場合の候補として挙げられることが多い。回答データがAI学習に利用されない設計になっており、社内の機密情報を扱う会社に適している。

導入前に確認すること

費用を調べる前に、以下を把握しておくと判断がスムーズになる。

1. 問い合わせ件数を数える

週に何件、同じような問い合わせが来ているか。月10件以下であればチャットボットを導入する効果は薄い。月30件以上の定型問い合わせがあれば費用対効果が出やすくなる。

2. 対応担当者の実態を確認する

問い合わせ対応を誰がどれだけの時間でこなしているかを把握する。担当者が週3時間以上を問い合わせ対応に費やしているなら、月1万円のシナリオ型サービスでも導入の根拠になる。

3. 登録できる情報が用意されているかを確認する

チャットボットに何を登録するかが決まっていないと、導入後に使い物にならない。よく聞かれる質問のリストや、回答のもとになる社内文書(就業規則、マニュアル、FAQ等)が整っているかを確認する。文書が古いままであれば、先に更新しておく必要がある。

自社の状況に当てはめて考えたい場合はこちらからご相談ください

導入の進め方

社内AIチャットボットを初めて導入する場合の手順を整理する。

Step 1: よく聞かれる質問を20〜30個リストアップする

「何を自動化したいか」を明確にすることから始める。問い合わせ対応が多い担当者に「何を聞かれることが多いか」を書き出してもらうと早い。

Step 2: 回答のもとになる文書を整理する

マニュアルや就業規則が最新状態になっているかを確認する。チャットボットが読み込む情報の品質が、回答の品質を直接左右する。

Step 3: ツールを選んで無料トライアルで試す

多くのサービスが無料トライアルを提供している。実際に使ってみることで、設定の手間感や回答精度の感覚がつかめる。

Step 4: 限定した範囲で運用を始める

最初から全社展開しようとすると頓挫しやすい。「総務への問い合わせのみ」「ITヘルプデスクのみ」というように範囲を絞って始める。

Step 5: 使われた結果をもとに改善する

運用を始めると、登録していなかった質問や、回答が不正確なケースが出てくる。これを継続的に改善することで精度が上がる。

まとめ

タイプ 初期費用の目安 月額の目安 向いている状況
シナリオ型 無料〜10万円 5,000円〜1万円 まず試したい、定型質問が多い
AI型(生成AI連携) 10万円〜50万円 2万円〜15万円 マニュアルが多い、質問が多様
カスタム開発 100万円〜 別途 独自要件がある場合のみ

中小企業が最初に検討するなら、シナリオ型から始めて効果を確認してからAI型に移行するのが現実的だ。月30件以上の定型問い合わせがあれば、シナリオ型の費用で十分に元が取れる。

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