AI×事務

提案書作成をAIで自動化する方法|パワポ・PDF出力まで

営業担当が2〜3人しかいない会社で、提案書を全部手作業で作っていると、提案数を増やすための時間がそもそもない。1件の提案書に半日かけているなら、月に受けられる商談件数に直接影響する。

この記事では、ChatGPT・Gamma・Microsoft 365 Copilotを使って、提案書作成をどこまで自動化できるかを実際の手順で説明する。ツールの特徴と使い分けも整理したので、自社に合った方法を選んでほしい。

提案書作成の「どこに時間がかかっているか」を先に整理する

AIで自動化すると言っても、提案書を作るプロセスは複数の工程に分かれている。全部をAIに任せようとすると失敗する。工程ごとにAIが得意な部分・苦手な部分を理解した上で組み合わせる方が効率がいい。

提案書作成の一般的な工程は以下の通りだ。

  • 顧客情報・商談内容の整理
  • 提案構成(アジェンダ)の設計
  • 各ページのテキスト執筆
  • スライドデザインへの落とし込み
  • PDF・パワポ形式での出力

このうち、AIが特に得意なのは「2〜4」だ。顧客情報の整理(工程1)は人間が入力する必要があるが、それを渡せばあとはAIに進めさせることができる。

ステップ1:商談情報をChatGPTに渡して構成案を作る

まず、ChatGPTに商談の内容を入力して提案書の骨格を作る。この段階で使うのはChatGPT(GPT-4o)だ。

入力する情報

以下の4項目を整理してからプロンプトに渡す。

  • 顧客の業種と従業員規模
  • 顧客が抱えている課題(商談で聞いた内容)
  • 自社が提案するサービスや解決策
  • 先方の担当者名・会社名

情報が具体的なほど、出力の精度が上がる。「製造業、従業員30名」より「食品製造業、従業員30名、現状は手書きで発注書を処理しており月末に照合作業が混乱している」の方が、実態に合った構成が出てくる。

プロンプト例


以下の情報をもとに、BtoB営業向けの提案書の構成案を作成してください。

【顧客情報】
会社名: ○○食品株式会社
業種: 食品製造業
従業員規模: 約30名
担当者: 営業部 田中部長

【顧客の課題】
月末の発注書照合に2〜3日かかっている。手書きの伝票を社内で転記するため、入力ミスが頻発している。

【提案内容】
クラウド型の発注管理システムの導入。月額3万円から。導入後は発注書の手書き入力が不要になり、照合作業が自動化される。

【出力形式】
スライド10枚構成で、各スライドのタイトルと含むべき内容を箇条書きで示してください。

このプロンプトを実際に使うと、以下のような構成案が返ってくる。


1. 表紙:提案書タイトル・日付・提案企業名
2. 課題の整理:現状の業務フローと発生しているコスト
3. 課題の根本原因:手書き・転記プロセスのボトルネック
4. 解決策の概要:クラウド発注管理システムの導入
5. システム機能紹介:主要3機能の説明
6. 導入後の業務フロー(Before/After)
7. 導入スケジュール:標準3ステップ
8. 費用:初期費用・月額・サポート内容
9. 導入事例:同規模製造業での実績
10. 次のステップ:デモ実施の日程調整

構成案が出たら、スライドの順序や不要な項目を人間が確認・調整する。ここに5分かけておくと、後工程の修正が減る。

ステップ2:各スライドのテキストをChatGPTで生成する

構成案が確定したら、各スライドの本文テキストをChatGPTに書かせる。スライド1枚ずつ指示を出す方法と、全スライドまとめて出力させる方法がある。初めて使う場合は、1枚ずつ指示する方が修正しやすい。

プロンプト例(1枚分)


以下のスライドの本文テキストを作成してください。

【スライドタイトル】課題の整理:現状の業務フローと発生しているコスト
【対象読者】食品製造業の営業部長(IT詳しくない)
【含めるべき内容】
- 月末の照合作業に2〜3日かかっている現状
- 手書き伝票の転記ミスが月に5〜10件発生している
- この作業を担当しているスタッフが繁忙期に残業になっている

【制約】
- 箇条書き3〜4点でまとめる
- 難しいIT用語は使わない
- 顧客が「うちのことだ」と感じる具体性にする

このように、スライドごとに「何を、誰に向けて、どう書くか」を明示する。制約なしで書かせると、抽象的で当たり障りのない文章が出てきやすい。

ステップ3:テキストをGammaでスライド化する

テキストが揃ったら、Gammaを使ってスライドデザインに落とし込む。Gammaは、テキストを入力するだけでデザイン済みのスライドを自動生成するツールだ。

Gammaの基本的な使い方

  • gamma.app にアクセスしてアカウントを作る(無料プランあり)
  • 「新規作成」→「ドキュメントから生成」を選択
  • ChatGPTで作ったテキストを貼り付ける
  • テーマ(デザインテンプレート)を選択して生成を実行
  • 生成されたスライドを確認し、必要に応じてテキスト・画像を修正

生成は1〜2分で完了する。デザインの品質は市販のパワポテンプレートと同程度かそれ以上で、非デザイナーが作った資料とは見た目が明らかに違う。

PDFとPowerPointへの出力

Gammaで完成したスライドは、PDFとPowerPoint形式でエクスポートできる。

  • PDF出力:右上の「エクスポート」→「PDF」を選択
  • PowerPoint出力:右上の「エクスポート」→「PowerPoint(.pptx)」を選択

無料プランではエクスポート時に「Gamma」のロゴが入る。商業利用や顧客向け提案書として使う場合は有料プラン(月額8ドル〜)への切り替えを検討したほうがいい。

Microsoft 365 Copilotを使う場合の手順

すでにMicrosoft 365を契約している会社であれば、Copilotを使ってWordからPowerPointを自動生成できる。Gammaのように新しいツールを覚える必要がなく、既存のOffice環境の中で完結するのが利点だ。

Copilotを使ったフロー

  • Wordで提案書のテキストをまとめた文書を作成する
  • PowerPointを開き、「Copilot」ボタンをクリック
  • 「このWord文書からプレゼンテーションを作成する」を選択し、Wordファイルのリンクを指定
  • Copilotが自動的にスライドを生成する
  • レイアウト・テキスト・画像を調整してPDF出力

Microsoft 365 Copilotを使うには、Microsoft 365 Business Standard(または上位プラン)に加えてCopilot for Microsoft 365のライセンスが必要だ。2026年5月時点でのCopilot for Microsoft 365の価格は1ユーザーあたり月額4,497円(税抜)だ。

Copilotは既存のOfficeファイル(過去の提案書テンプレート等)を参照させることもできる。自社の過去の提案書をWordに貼り付けて「この構成を参考にして○○向けの提案書を作って」と指示することで、自社のスタイルを維持しながら生成できる。

GammaとCopilot、どちらを使うべきか

どちらを選ぶかは、会社の状況次第だ。以下を判断基準にしてほしい。

判断軸 Gamma Microsoft 365 Copilot
Microsoft 365の利用 関係なく使える 契約が前提
デザインの自由度 テンプレートが豊富 Officeのテーマに準拠
既存テンプレートの流用 難しい やりやすい
月額コスト 無料〜月額8ドル 別途4,497円/ユーザー
学習コスト 低い(直感的なUI) Officeに慣れていれば低い

すでにMicrosoft 365を全社導入していて、Copilotも追加するコストが許容できるなら、Copilotの方が社内の既存ファイルと連携しやすい。そうでなければ、Gammaを単体で使う方がコストパフォーマンスが高い。

実際にやってみて分かった注意点

僕が自社の業務で提案書作成にAIを使い始めたのは2024年後半から。現在は提案書の初稿はほぼChatGPTで作り、デザインはGammaで仕上げるフローを固定している。

使い続けて気づいた注意点を3つ挙げる。

1. 数字は全部自分で入れる

AIは「具体的な数字」を求めてくると推測値で埋めようとする場合がある。「導入後に作業時間が50%削減」のような数字が出てきたとき、それが自社サービスの実績に基づいているかを必ず確認する。実績がなければプロンプトに「具体的な数字は入れないで。数字が必要な箇所は[要記入]と書いて」と指示するといい。

2. 顧客名や社名の記載ミスを確認する

テンプレートを使い回すフローだと、前の顧客名がそのまま残ることがある。出力後に顧客名・担当者名・日付を必ずチェックする。Gammaの場合は「置換」機能がないので、PDFに落とす前にテキストを手動で確認する必要がある。

3. 初稿のトーンが合わない場合は「修正指示」を使う

AIが生成した文章が硬すぎる・柔らかすぎると感じる場合は、再度プロンプトで修正を指示する方が速い。「もっと簡潔に」「箇条書きに直して」のように追加指示すれば、ゼロから書き直すより短時間で調整できる。

テンプレート化で提案書を量産する仕組みを作る

一度うまく機能したプロンプトと構成案は、テンプレートとして保存しておく。次の提案書を作るときに、顧客情報の部分だけ書き換えて使い回せる状態にしておくと、作業時間がさらに短くなる。

保存するべきものは以下の3点だ。

  • 商談情報を整理するためのヒアリングシート(テキスト形式)
  • 構成案生成用のプロンプトテンプレート(顧客情報・課題・提案内容の欄が空欄)
  • Gammaで使用するデザインテーマ(お気に入り登録しておく)

提案書のパターンが複数ある場合(新規獲得向け・既存顧客向けのアップセル・コンペ向けなど)は、パターンごとにプロンプトを用意しておく。状況に応じてプロンプトを切り替えるだけで、初稿が完成する状態を作れる。

よくある質問

Q. ChatGPTは無料版で使えますか?

構成案の生成は無料版のChatGPT(GPT-4o mini)でも動作する。ただし、複雑な業界用語への対応や長文テキストの品質は、GPT-4o(有料版)の方が安定している。月額20ドルのChatGPT Plusで十分対応できる。

Q. Gammaで作ったスライドを印刷用にするには?

PDF出力で高解像度のファイルが作れる。A4横向き印刷にも対応している。ただし、フォントや余白は印刷プレビューで必ず確認すること。画面表示と印刷結果でレイアウトが変わる場合がある。

Q. 既存のパワポテンプレートを使いたい場合は?

GammaはPowerPoint形式で出力した後、Officeで手動調整することができる。会社の既存テンプレートに合わせたい場合は、Gammaで構成とテキストを確定させた上で、PowerPointに出力して自社テンプレートに貼り替える方法が現実的だ。

まとめ

提案書のAI自動化は、全部を一発で生成しようとするのではなく、工程を分けて使うと精度が安定する。

  • 構成案・テキスト生成:ChatGPT
  • スライドデザイン・PDF出力:GammaまたはMicrosoft 365 Copilot
  • 仕上げと確認:人間

この3役割を分担するフローを一度作ってしまえば、次回以降はプロンプトのテンプレートを使い回せるようになる。まず1件の提案書で試してみることが最初の一歩だ。

関連記事

-AI×事務