著者: 野原琉海(株式会社ラズリ代表)
「うちみたいな小さい会社にはAIで使えるようなデータなんてないよ」
こう思っている経営者は多いと思う。AIの話をすると「うちは大企業じゃないから」「データサイエンティストなんていないから」と。
でも、ちょっと待ってほしい。
あなたの会社には、すでにたくさんの資産がある。ただ、それが資産だと気づいていないだけだ。
Excelの中に眠っている宝
売上を記録しているExcelはないだろうか。顧客リストはないだろうか。過去の見積もり履歴はないだろうか。
それ、全部資産だ。
たとえば売上のExcelに「いつ」「誰が」「何を」「いくらで」買ったかが入っていたら、それだけで:
- どの時期にどの商品が売れるか分かる
- リピートしやすい顧客の特徴が見える
- 値引きした時としなかった時で受注率がどう変わるか分かる
これを人間が分析しようとしたら大変だけど、AIに渡せば数分で傾向を出してくれる。
顧客情報は最強の資産
長年商売をしていれば、顧客との関係の中にものすごい量の情報が溜まっている。
- この顧客はこういう提案をすると反応がいい
- この業界の顧客はこの時期に動く
- この担当者はメールより電話の方が通る
- この顧客は過去にこういうクレームがあって、こう対応した
こういう情報は、ネットで検索しても絶対に出てこない。あなたの会社だけが持っている一次情報だ。
AIにこういう情報を渡すと、「次にこの顧客にアプローチするなら、こういう提案がいいかもしれません」といった提案ができるようになる。
採用データも資産になる
採用活動をしたことがある会社なら、こういうデータが残っているはずだ。
- どの媒体から応募が来たか
- どういう人が採用されて、どういう人が不採用になったか
- 採用した人のうち、誰が定着して誰が辞めたか
- 辞めた人はどのくらいの期間で辞めたか
これを分析すれば、「うちの会社で定着しやすい人の特徴」が見えてくる。次の採用の精度が上がる。
ほとんどの中小企業はこのデータを分析していない。「採用は縁だから」で終わっている。でもデータを見れば、縁ではなく傾向が見えることが多い。
問い合わせの履歴も使える
問い合わせが来たことがある会社なら、その内容を振り返ってみてほしい。
- どんな質問が多いか
- どの時期に問い合わせが増えるか
- 問い合わせから受注につながったケースの共通点は何か
- 問い合わせで離脱したケースは何が原因か
同じ質問が何度も来ているなら、FAQを作れば対応の手間が減る。受注につながるパターンが分かれば、営業のやり方を改善できる。
「データがない」のではなく「整理されていない」だけ
多くの中小企業は、データがないのではない。データが散らばっているだけだ。
- 売上はExcel
- 顧客情報は担当者の頭の中
- 問い合わせ履歴はメールの受信箱
- 採用記録は紙のファイル
バラバラに存在しているから「データがない」と感じる。でも1箇所にまとめてみると、けっこうな量の情報がある。
まず何をすればいいか
大げさなことは必要ない。
- 社内にあるExcel、スプレッドシート、メール履歴を一覧にする
- その中で「毎月繰り返し見ているもの」「判断に使っているもの」を選ぶ
- それをAIに渡して「何か傾向はある?」と聞いてみる
それだけで「あ、こういうパターンがあったのか」という気づきが得られることが多い。
大事なのは、新しいデータを集めることではなく、すでに持っているデータの価値に気づくことだ。
まとめ
- 中小企業にはすでにAIで活かせるデータがたくさんある
- 売上記録、顧客情報、採用データ、問い合わせ履歴。全部資産
- 「データがない」のではなく「整理されていない」だけ
- まず手元のデータをAIに渡して聞いてみるだけでいい
- あなたの会社だけが持っている情報は、ネットには載っていない。だから価値がある